宝塚歌劇団花組のトップ明日海りおさんの退団が発表されて衝撃が走りました。
そんな中で、「もうあの作品を実際に見ることができないんだな〜」なんて思うことも多く、
やはり、劇団の作品は、「見れるうちに見る!」べきと強く思う最近です。
そんなもう実際に見ることができない数々の作品の中から、「ポーの一族」を紹介したいと思います。
美しすぎる「ポーの一族」のエドガー
宝塚歌劇花組、萩尾望都の永遠の名作「ポーの一族」を昨年冬に観劇。
元々あの華やかで繊細な萩尾望都の原作の世界が大好きだったこともあり、最初に宝塚でこの演目を上演する、と聞いた時には期待反面、不安反面でした。
しかし実際に見に行ってみるとそんな懸念は本当に必要なかったと自信を持って言えます。
まず圧倒されたのは原作そのままのあの煌びやかさです。
主演の明日海りおさんは、白シャツとさらりとした金髪が遠目からも美しすぎ、オペラグラスで何度もその姿を追ってしまう程の圧倒的な美でした。
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もちろんビジュアルだけでなくハスキーでありながら澄み通るその声は14歳のエドガーの儚さと憂いを十二分に表現しており、特に切ないシーンでは何度も涙してしまいました。
特に最後のエドガーがアランを連れて行くシーン。
まるで絵画を見ているような美しさと哀しみがあふれていました。
永遠の命を持っており、生き続けなければいけないこと。
不老不死は昔から人類の究極の望みとして様々な物語にも描かれてきたテーマではありましたが、「ポーの一族」では、それはある意味試練のようにも描かれており、歳をとらないエドガーの圧倒的な美しさとその切なさが舞台全体で表現されていました。
そんなエドガーが永遠という試練を共に歩んでいけるアランを見つけたこのシーンまで、話の流れも本当に綺麗にまとまっていました。
それも、我が強く勝気に見えるけれども誰よりも繊細なアラン、そして周りの皆が歳をとり死にゆく姿を何度も見送りながら自分は生きて行くしかないエドガー。
この両者の孤独がこの脚本の全体に細やかに表現されていたため、ここまで感情移入できたのだなと思います。
「ポーの一族」というと複雑な時系列も原作の魅力の一つではあります。
この宝塚公演ではその部分も構成によってわかりやすく整理されています。
様々な要素が複雑に散りばめられたあの原作を、
二時間半強の限られた時間内に纏めあげるのはかなり大変だったのではと推測できます。
しかし原作の耽美で儚いイメージを壊すことなく、話の整合性をとった良い脚本になっていました。
現に一緒に見に行った友達は原作未読、最初はあのポーの世界をこの時間内で一から理解できるのだろうか、とちょっと不安でした。
しかし、話の大筋を問題なく理解でき楽しめた、ということでした。
とにかく衣装やセットも豪華絢爛。
暗転なども上手く使い、スピーディーな展開もありつつ大切なシーンは荘厳に聞かせる、緩急の取れた良い舞台でした。
この作品は、小池修一郎の長年の夢が叶った作品です。
この「ポーの一族」をミュージカル化したいと夢見て宝塚歌劇団に入団をしたというあの小池修一郎。
20年以上前から、「ポーの一族」作者に舞台化を申し出ていたが、ついに実現したのが昨年の2018年。
エドガー役の明日海りおの美しさは、エドガーそのものでした。
もう一度見たい作品です。