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宝塚歌劇団演出家・齋藤吉正の「ちょっとクセになるショーの特徴」

宝塚歌劇を楽しもう

星組の大劇場千秋楽が終わりましたね。

紅ゆずる+綺咲愛里コンビの軌跡を振り返ろうと、二人が主演する舞台の映像を色々観返しているのですが、その中でもダントツ多く再生してしまうのが『Killer Rouge』です。

ついつい流してしまうので、「そればっかり観てるね〜」と家族に言われて初めて気がつきました、私は『Killer Rouge』が大好きだと!

再生回数は嘘をつきません。

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演出家・齋藤吉正先生について

さて、『Killer Rouge』をはじめ、近年では『La Esmeralda』TAKARAZUKA∞夢眩』など、ギラッギラのショーを手がけているのが宝塚歌劇団の座付演出家・齋藤吉正先生。

今回は、私が思う齋藤ショーの魅力についてご紹介します。

その曲どこから持ってきたの?と意外すぎるニッチな選曲

齋藤ショーといえばこれ!ニッチすぎる選曲です。

宝塚のショーではオリジナルの楽曲が使われることもある一方、聞き覚えのある外部の既存曲が使われることもままあります。

齋藤ショーでも外部の曲が多く用いられますが、その曲選が超ニッチなのが特徴です。

V系、懐メロ、韓国歌謡、アニソン……なんでもござれのそのラインナップを見るにつけ、齋藤先生の守備範囲の広さに驚かされます。

例えば『TAKARAZUKA∞夢眩』では、V系バンド、MALICE MIZERの『Je te veux』というナンバーが用いられています。

V系ファンでないとわからないような選曲にビックリしましたが、明日海りお柚香光に誘惑され、人形役の仙名彩世と踊るという耽美的なシーンに不思議なほどマッチしていました。

また、このショーでは望海風斗と蘭乃はなが『Preserved Roses』を熱唱しました。

この曲はアニメファンなら知らない人はいない有名曲なのですが、まさか宝塚のショーで聴くことになろうとは思いませんでした!

ただ突飛な選曲をしているのではなく、場面場面に合った、生徒の魅力を引き出すような曲をあてがってくれるのが齋藤ショー。

既存曲の使用には賛否ありますが、齋藤ショーの曲使い、私は好きです。

一周回っておしゃれ?レトロな電飾使い

個人的に好きなポイントが、ちょっとレトロな電飾の使い方です。

『La Esmeralda』の開演前のロゴが最たる例。

まさかのカタカナで書かれた『ラ エスメラルダ』が光り輝いていました!

しかも最初の「ラ」の文字だけ他とは別に上にちょこんと乗っていて、インパクト大。

この公演がファンの間で「ラ」と呼ばれているのもうなずけますね(笑)

『TAKARAZUKA∞夢眩』でも幕開き前にデカデカと「宝塚夢眩」の文字が浮かんでいましたし、『Killer Rouge』でも「星秀☆煌紅」がギラギラ輝いていました。

ちょいダサ?なのか、はたまたレトロでおしゃれなのか……一度見たら忘れない、クセになるデザインが多いですね。

娘役への愛爆発!キュート&パワフルな見せ場

齋藤ショーに期待しているのは娘役の登場場面。

娘役のかわいさをこれでもか!と感じさせてくれる演出が魅力的です。

例を出すと、ずいぶん前の作品になりますが、『満天星大夜聰会』の「HANACHANG」のシーン。

あの花總まりが、アイドル役で歌い踊ります!

ちょっと『BADDY』のグッディを彷彿とさせるようなキュートな衣装に身を包み、「Are you ready?」「こんにちはー!」と元気にコール&レスポンスをするお花様……

初見では結構衝撃的でしたが、なんだか不思議とクセになる場面です。

圧倒的なオーラで君臨していたお花様のキャピキャピした可愛らしい姿、観ていると元気が出ます。

「HANACHANG」はじめ、齋藤ショーでは娘役の「かわいい私を見て!」というエネルギーがバンバン伝わってきます。

ノンストップで繰り広げられる、ド迫力の中詰

齋藤ショーの中詰は最高!

歌い継ぎに次ぐ歌い継ぎで、非常にスピード感ある迫力満点の光景が目の前に展開します。

『Killer Rouge』で一番好きなのも中詰のシーン。

フリッフリの羽根付き帽子を被った紅ゆずるがテーマソングを歌い、礼真琴が歌い継ぎ、白とピンクのゴージャスな衣装をまとった組子が舞台上に勢揃い。

さらに、華やかなドレス姿の綺咲愛里が、アニメ版ベルサイユのばらのテーマ曲『薔薇は美しく散る』を歌い、七海ひろき達の『罪な薔薇』へと引き継ぎます。

この流れが本当に完璧すぎる!

ゴージャスでノリノリなナンバーが失速することなくこれでもか、これでもかと繰り出され、観ている側のボルテージは最高潮に達しました。

いやあ、ここのシーン、何度も観てしまいます!

「サイトーの犯行」のこれからに期待!

ファンの想像の斜め上を行く、時に「宝塚らしさ」の枠を超えた趣味全開の齋藤吉正先生の演出は、「またサイトーのしわざか!」という愛を込めてネット上では「サイトーの犯行」と称されることも。

その独特な演出が観る側にバッチリハマることも、はたまたハズレてしまうこともあるのですが(笑)、「タカラジェンヌのこういう魅力を伝えたい!」という演出者のメッセージが強烈に伝わってくる作品は、観ていて満足感があります。

ギラッギラでアクセル全開の齋藤ショーは観ていて元気をもらえます。『Killer Rouge』に続く新たなショー作品に期待したいですね!

ライター:ミナミ