宝塚歌劇団の「専科って何?」
宝塚にハマりたての頃、誰もが思う疑問です。
「宝塚には花、月、雪、星、宙の5組があると聞いているけれど、公式ホームページにはもう一つ専科のページもあるし、6組じゃないの?」
「他の組とは何が違うの?」
「専科のメンバーはどんな活躍をしているの?」
そんな疑問を解決すべく、今回は専科の役割と専科生の活躍、および専科の今後の展望についてまとめました。
専科の基本知識
専科はどこの組の公演でも出演する
通常、宝塚歌劇団の生徒は組配属後5組に分かれます。
組に所属している生徒は、まれにある特別出演という形を除けば基本的に自分の組の公演にのみ出演します。
一方、専科生はどの組の公演にでも参加します。
公演前のトップスターによるアナウンスで、「専科の○○さんにご出演いただいています」というセリフを耳にすることがありますね。
専科生はオファーが来た時出演する
組に所属している生徒は基本全員がその組の大劇場公演に出演します。
別箱公演の際も数グループに分かれるとはいえ、どこかしらの公演には参加している状態になります。
専科生は「今度のこの公演に出てください」というオファーが来た時その公演に出演します。
つまり、出演が不定期になるということ。
例えば退団された北翔海莉がそうだったように引っ張りだこでハードスケジュールになる可能性もあれば、活躍の場が少なくなってしまう期間もあり、ファンとしては「次の出演はいつだろう」と先のことを考えてやきもきしてしまうこともあると思います。
とはいえ、組の枠を飛び越えて活躍するのを観られる楽しみは大きいです。
様々な組の色々な生徒さんとの意外な組み合わせが楽しめるのは専科生を応援する上での面白さかもしれませんね。
「専科公演」というのもあります
専科生は基本的に単独、あるいは数人で組の公演に出ますが、たまに「専科公演」と銘打ったバウなどの小劇場での公演があります。
直近だと『パパ・アイラブユー』が専科公演です。
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主演の轟悠のほか(専科公演は必ず轟悠が主演となります)、専科の悠真倫に加え宙組生(留依蒔世、遥羽ららなど)が出演していました。
専科所属メンバー
男役芸の第一人者、轟悠
劇団理事。渋くダンディな芸で宝塚の男役スピリットを次代に継承するタカラジェンヌの大先輩です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
日本舞踊といえば!松本悠里
劇団理事。44期生という大・大・大先輩です。
日本舞踊松本流の名取で、日本物での美麗な舞や所作は別格。
最近では宙組公演『白鷺の城』への出演で話題になりました。
脇を固めるベテランジェンヌたち
専科といえば、芸歴の長いベテランジェンヌたちによる確かな脇役演技。
老け役など、作品に不可欠なキャラクターを積み重ねてきた演技力で見事に演じます。
長年培ってきた渋い演技の妙。ベテラン専科生の演技は、舞台を引き締める重要な要素です。
これからの活躍が楽しみな凪七瑠海、愛月ひかる
『蘭陵王ー美しすぎる武将ー』で専科異動後初の主演を果たした凪七瑠海と、宙組から専科に異動したばかりの愛月ひかるの二名は専科の中では若手。
ベテランの専科生のように老け役を演じるのではなく、各組のスターと同様の役を演じている印象です。
専科生が活躍した公演
「これぞ専科!」という専科生の活躍が堪能できる公演としておススメなのが、2014年星組公演『眠らない男・ナポレオンー愛と栄光の涯(はて)にー』。
小池修一郎作・演出の一本もので、主演はあのレジェンド柚希礼音。
ゴージャスな衣装や舞台芸術が話題になった見応えのある公演です。
紅ゆずる、真風涼帆、礼真琴など今をときめくスターたちも出演しています。
専科からは
美穂圭子(ナポレオンの母レティツィア役)
一樹千尋(バラス/フランツI世役)
英真なおき(グランマルモン役)
北翔海莉(タレーラン役)の四名が出演。
重厚な演技で魅せ、歴史劇としての作品の質をぐぐっと高めました。
特にナポレオンの母を演じた美穂圭子の歌声は心に染み入る美しさでした。
北翔海莉(現在は退団しています)の役は杖をついて歩く狡猾な政治家でしたが、王道のキャラクターではないにもかかわらず「かっこいい!」と思ってしまう不思議な魅力がありました。
専科のこれから~常に変わる専科のあり方~
愛月ひかるの専科異動を受け、彼女の今後がどうなるのか気にかかり今回は専科について振り返ってみました。
専科というと「ベテラン脇役」のイメージが強いですが、実際には所属している(またはかつて所属していた)ジェンヌさんのタイプは様々で、「専科とは」と一括りにして語るのは存外難しいことでした。
過去にはトップスター候補がごっそり専科異動になったり(通称:新専科)、北翔海莉が専科から星組トップスターに就任したりと、専科を巡っては常に何かしらの動きがあります。
凪七瑠海や愛月ひかるなど若手専科生の今後の動きをはじめ、時代によって変化する専科の役割は要注目ですね。
ライター: ミナミ