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今まで100回以上は観た、初演「王家に捧ぐ歌」について語らせて!

宝塚歌劇の懐かしシリーズ

映画好きな方がよく、昔の名作が大好きで何度も観る作品があるっていうじゃないですか。

『ローマの休日』だったり、『風と共に去りぬ』だったり。

宝塚ファンも昔の公演だけど、大好きで繰り返しDVDを観る作品ありますよね。

私にとってはそれが初演、星組の宝塚大劇場公演の『王家に捧ぐ歌』です。

何回もDVDを観たり、ライブCDを繰り返し聴いていたので、台詞や歌いまわし、声の出し方など覚えてしまったくらいです。

ホント最近になって、中日劇場のDVDを購入してそれも観ているのですが、大劇場Verには大劇場Verの、中日Verには中日Verの良さがあるのですが、今回は大劇場Verを中心に語らせていただきます!

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なんといってもキャストが神がかっている!

キャストが最高すぎませんか?

ラダメス 湖月わたる

エジプトの若き将軍、という役柄にピッタリなパワフルさ。

勇ましく、そしてなにより包容力がありすぎる!湖月わたるさんの魅力がこれでもかというくらい発揮されていました。

相手役の壇れいはもちろん、男役二番手の安蘭けい(とうこさん)をもひょいっと抱き上げてしまうところがなんとも男らしい!

わたるさんととうこさんのコンビ最高すぎたよ・・・。

この公演をするためにわたるさんは星組のトップになられたのではないでしょうか!

アムネリス 壇れい

エジプト王ファラオの娘で、気品溢れる気高い美女アムネリス様。

ただ美しいだけではなく、ファラオの娘という、貫禄が凄いです。

やはり壇ちゃんは別格です!星組の新、娘役トップとして、誰よりも美しく輝いておられました。

アイーダ 安蘭けい

タータンの後を継いで星組のトップになるんだろうなぁと誰もが思っていたのに、まさかの二番手残留!

そして新生星組トップお披露目公演でまさかの女役!

誰もが最初は「Why!?」となっていましたが、公演が始まってからは誰もが安蘭くんの新たな魅力に気付き、「さすが安蘭くん。最高!」としか言えなくなってしまいました。

現役のタカラジェンヌでは史上初となる松尾芸能賞演劇新人賞の個人受賞をされたということで、宝塚の歴史に伝説を作られました。

その他の配役

アモナスロ(エチオピア王、アイーダの父)一樹千尋

ファラオ(エジプト王)箙かおる

この作品はこのお二方がおられてこその作品です。
エチオピアとエジプトという二つの国のトップの貫禄はこのお二方にしか出せません!

ウバルド(アイーダの兄)汐美真帆

この異常なテロリストっぷりはケロさんにしかできないのではと思います。

公演パンフレットには、この芝居を通して「戦いは新たな戦いを生むだけ」というメッセージをお客様にお伝えしたいとありました。

この公演を通して星組生が皆、世界の平和に対して真摯に向き合っていたのだということが分かりました。

1,2幕ともにケロさんの台詞で始まり、すっと物語の世界に引きこんでくださいました。

ケペル・メレルカ(エジプトの兵士、ラダメスの戦友)立樹遥・柚希礼音

この二人の声の太さがラダメスの親友として納得できました。しいちゃんの堂々とした歌声や姿、柚希君のフレッシュでパワフルなダンス!最高です。

カマンテ・サウフェ(エチオピア王家の家臣)真飛聖・涼紫央

普段とは大違いの泥臭い芝居が妙にしっくりきていました。

こんな凄い人達が家臣ポジションだとは・・・。

神官たち(英真なおき・にしき愛・高央りお

この三人めちゃくちゃおいしい役どころだと思いました。

二幕の「我々にはお金と力があるからHAHAHA」のシーンが最高すぎました。

「あの娘を採れー」の台詞もお酒を飲んで上機嫌な神官たちが面白すぎました。

女官アウウィル・女官ターニ(凄い強い♪や美女選びを歌う)叶千佳・陽月華

この2人、可愛すぎます!!超かわいいのにダンスが力強すぎて、スゴツヨでした!

ファトマ(エジプトの囚人、かつてはアイーダの侍女)万里柚美

「アイーダ様どうかご自分が王女であることをお忘れなく・・・」と歌うシーンがとにかく印象的です。

パンフレットには、『一番の側近だったファトマにも「あなたは王女であることをお忘れなく」と冷たく言われてしまう』と書いてありますが、万里さんのお芝居はただ冷たくしているのではなく、すごく切ない感情が伝わってきて、とうこさんもその感情を受けての『アイーダの信念』に入るわけですが、このシーンがとにかく切ない!

みんなの様々な思いがぶつかりあっているけど、アイーダの強い信念は変わらない。

めちゃくちゃ好きなシーン『月の満ちるころ』前後

このシーン、中日劇場では大劇場と少し振り付けが変わっていると知って、このシーン見たさにDVDを購入しました。私の知っている宝塚の中で一番好きなシーンです!!大劇場Verと中日Verありますが、個人的にはダントツ中日Verが好きです。このシーンに関しては!大劇場だと、アイーダとラダメスのラブシーンが銀橋でやるんですよね。それが何かお芝居と現実の境目に立っちゃっている感じに見えちゃってもったいないんです。もちろんわたるさんもとうこさんも200パーセント芝居に入り込んでいるので全く演技に現実感は無いんですよ!ただ客席からの見え方というか・・・私は100回くらいDVDで見ちゃっているからカメラワークの問題というか・・・、があって少し違和感があったのです。が!中日は銀橋が無く、すべて舞台上で行われるのでそのままの気持ちで見られます!

私が好きなシーンは『月の満ちるころ』を歌う前からです!

アイーダの父アモナスロが「お前だけが頼りだ」と、ファラオ暗殺の機会をラダメスから探り出すようにアイーダに命じるシーンの後、ラダメスの登場からです!

「アイーダ!」とアイーダに会えて嬉しそうなラダメスに対し、かなり冷たく「将軍様、御用は」と言い放つアイーダ!もうこの時点で萌えです。

そしてラダメスの「愛しているあなたを愛している」と2回歌った後、「アイーダ」「そんな風に言われて、私は・・・」「アイーダ」「ラダメス!」で二人が銀橋の真ん中で抱き合う、このシーンが最高に好きです!好きすぎです!実際の大劇場に観にいったときに、とうこさんがここで、ラダメスに辿り着く直前にスカートに足をひっかけて転んでしまったんですけど、わたるさんがすかさず助けに行ってしっかりと抱き上げてフォローされていました。

「これってこういう演出?」と思ったけど、DVDでは転ぶシーンは無かったのでアクシデントだったんですね!

そのわたるさんの力強さを思い出すだけでもう好きすぎます!!

なんて包容力のある方なんでしょう!

この作品、ご自分のトップお披露目公演ですよ!?

なのに男役二番手のとうこさんをこんなにも愛し、立てていらっしゃるとは・・・なんという懐の深い方なんでしょう。

そして抱き合ってからのアイーダの台詞!「抱きしめて!もっと強く抱きしめて」この台詞、後に宙組公演の「王家に捧ぐ歌」の前夜祭のときにゲストでいらしていたとうこさんが、「抱きしめてだなんてそんな恥ずかしい台詞よく言えるね」とご自身も言ってらっしゃった台詞を恥ずかしがっていたという、なんとも可愛いエピソードがありました!

この抱きしめ合うシーンでアイーダがラダメスの頭を撫でているのがまた萌えです。

その後、いつまでもエジプトで幸せに暮らそうというラダメスに「そんなことアムネリス様が許すわけない」そしてファラオもまた娘の願いを叶えるはずだと。

「父親と娘は離れられない定め」と歌うアイーダが、アモナスロとの切れない関係を歌っていて切ないです。

「ラダメスの決意」

公演パンフレット読み上げますね!

『一時の感情に流されないでというアイーダの言葉に、ラダメスは激高し、あなたはそんないい加減な男を愛したのかと逆に問う。ここで初めてラダメスはアイーダのテーマ「アイーダの信念」を歌う』とあります。

「あなたは私を見くびっているのか!あなたは私を一時の感情に流され生き方を変える男と見ているのか」「それだけの男を愛したのかあなたは」←この部分ですね!

パンフレットをみて「へぇ~!」となりました!

ここで初めてラダメスが「アイーダの信念」を歌うということは、ここにきて初めて二人の思いが一つになったという。

満を持して「月の満ちるころ」

ラダメスがアイーダを後ろから抱きしめながら歌うところ、ここカメラワーク最高ですよ!

「ナイルを下り海へと漕ぎ出だし」の部分でアイーダが目を閉じて想像しているところ、観客にもナイル川と海が見えてきました。

そして二回目の「月の満ちる頃あなたと」「あなたと私を乗せた船は」のあたりのラブシーン、中日ではとんでもない濃厚なラブシーンになってしまっていますね。

ラダメスがアイーダの首筋にキスをするところがラダメスもアイーダも色気ムンムンで、「あっこのシーンってそういう解釈でいいの?」ってなりました。

(そう思うと歌が始まる前のアイーダの体の強張らせ方も納得。しかしすぐにラダメスの口元や頭に手を回して大胆な面も。)

ていうかね、わたるさんの女性の扱いがやばい!

片手でがしっと支えちゃうから本当に本当の男より男らしいっ!!わたるさんととうこさんのコンビが最高すぎて、この「月の満ちるころ」はこのシーンだけでもう大劇場と中日合わせて200回くらいは観ました。

中日ではダンスナンバーでもわたるさんととうこちゃん一緒に踊っちゃってるしね!最高かよ!

でもその後、「壇ちゃん、おまたせ!」って感じで壇ちゃんをリードしてデュエットダンスを踊るわたるさんも素敵過ぎて・・・でもとうこさんと壇ちゃんをとっかえひっかえ、プレイボーイですよね!!

まとめ

もっと真面目にこの作品の素晴らしいところを語るつもりでしたが、こんなことになってしまいました。

すべてはわたるさんととうこさんの幻の名コンビのせいです。

真面目なことを申し上げるなら、

第一幕第一場で、アイーダの生きていた時代から3500年も彷徨う魂がいるけれどこの世界は何も変わっていない、という台詞や、

第二幕第八場「世界に求む」の「たとえ今は夢のように思えても」のところで兵士たちが剣を捨てていくところからこの作品を通じて本当に現代の世界へ平和を訴えたいという思いが伝わってきました。

アムネリス様がラダメスの最後に「私にあなたを殺させないで」というセリフがとても切なく、悲しかったです。

平和ボケするエジプト民に「戦っている方がマシだ」と言い放っていたアムネリス様ですが、愛する父親、そしてラダメスを一度に奪われてしまい、戦いの虚しさ、意味の無さに気づいてしまった最後のセリフがとても心にしみました。

「この命令の虚しさは重々承知しています。いつか人々は戦い始めるでしょう。そして戦いはいつまでも続くでしょう。しかし、たとえ戦おうと、戦いで傷つこうと、我々は決して平和への希望を失ってはならないのです」

中日でこのセリフを聞いているときのわたるさんととうこさんがまた最高でした。

しにかけのアイーダをしっかりと支えながら平和を祈るラダメス。

大劇場ではさ、その前のシーンを銀橋でやっちゃってるから、この大事なシーンで二人がバラバラになっちゃってるんですよ!!

銀橋~!!もったいない!

ラダメスがアイーダを強く抱きしめて「もう離さない!」って言ってたのに銀橋から降りなきゃ行けないから二人で別々に舞台に戻っちゃうのです。

まあ一番最後に一緒に舟に乗るからいいんですけど。この舟に乗って2人で生きていくつもりだったのに・・・すごく切ないです。

そしてこの宝塚歌劇という夢夢しい舞台なのに、星組生たちが泥臭い芝居をやってのける熱量、パワーが凄くて、DVDで観ても訴えかけられている力のあるお芝居だなーというふうに思いました。

(※わたるさんととうこさんのラブシーンに萌えるだけのお芝居では決してありません!ただ私がわたるさんととうこさんのコンビの虜になってしまっただけです)

オペラからの作品だけど、原作のメロディーは一切使わず、全編甲斐先生の切なく美しいメロディーでした。

正直凱旋の場面だけでも原作のメロディーが出てくるのでは?と思っちゃったけど、全くそんなことはなく、今となってはもう原作のメロディーを忘れて思い出せません。

木村先生と甲斐先生の計算し尽くされた脚本・演出・作曲・編曲。

それに応えるわたるさん、とうこさん、壇さん、星組の生徒さんたち。初演「王家に捧ぐ歌」まだ観ていない方は是非、ご覧になってみてくださいね。とにかく力強い作品です。私もそろそろ宙組の再演Verを観なければ、と思います。