星組トップ紅ゆずるは、「タカラジェンヌがこうあるべき」という概念を壊してくれる楽しさがある。
そしてきっと劇団側も「こうあるべき」宝塚を壊してくれる紅ゆずるが好き。
だからトップになったんだ。
宝塚歌劇の魅力は変化し続ける部分と変化しない部分と両方を兼ね備えている。
そうでなければ、100年とは続かない。
例えば、
今年公演が行われた星組の「Another World」と月組「エリザベート」を同じ「宝塚歌劇団」という一つの団体が作っている、この凄さ。作品によって全く別物です。
1回見に行っただけでは、宝塚の良さは絶対にわからない。
星組の「Another World」を見た時は、まるで吉本新喜劇か落語を見に行ったワクワクと笑える楽しさとスピード感と豪華絢爛の美しさがあった。
月組「エリザベート」を見た時は、上質なミュージカル作品を見に行ったような満足感が味わえる。
1回見て、なんかよくわからなかったのでそれっきり・・・という方はもう一度作品を変えてみてほしい。
絶対に1回目と全く違った印象になるだろう。
技術の高いタカラジェンヌではなかった紅ゆずる
さて、話は紅ゆずるの話に戻そう。
決して、技術の高いタカラジェンヌではなかった紅ゆずる。
入団時の成績は下から2番目。
過去の男役トップでもこれほど下の成績でトップになった人はいない。
容姿についても決して美人な方ではなかった。(ごめんなさい)
過去の映像を見ていると、いかに舞台上で見栄え良く見せるかに奮闘していたのだろうと思えるようなお化粧である。
しかし、その奮闘の末、今の紅ゆずるの美しさがある。
歌、お芝居も同じ。決して上手いとは言えない(すみません)
それゆえに死ぬほど、練習したのだろう。
芝居、歌、ビジュアル、ダンスと揃っているタカラジェンヌが多い中で
普通なら周りと比べてしまって卑屈になってしまいそうな環境の中で
どれだけ強い力を持ち続け、芸を磨いてきたのだろう。
「宝塚の舞台の立ちたい」「お客様を喜ばせたい」
彼女の言葉を聞くと、いつもこの2つの気持ちの大きさを感じる。
もしかしたら、卑屈になってしまったり、挫折しそうな自分がいたのかもしれない。
だけど今、トップの場所に立つ。
紅ゆずるの魅力
どうやってその自分と戦い、
自分に勝ってきたのだろう。
知りたい。
多くの人が思う「強い自分になりたい」を
実際に辛い厳しい宝塚という世界の中で成し遂げてきた姿に
希望と光を見せてくれる。
「綺麗になりたい」と女性なら誰もが思う。
それを17年という長い年月をかけてずっと見せ続けてくれて
見事に美しくなり大きな花を咲かせている。
さて、前述で「歌、お芝居は決して上手いわけではない」と書きました。
しかしこれは過去の話です。
どれだけの努力と練習を重ねたのか、想像を絶しますが、
「Another World」で見せた紅ゆずるは、彼女しかできない巧みな話術とお芝居を見せてくれました。
いつも明るく楽しく面白く、そして美しく私たちを楽しませてくれる。
それが紅ゆずるの魅力。
紅ゆずるのプロフィール
生年月日 | 8月17日 |
出身地 | 大阪府大阪市 |
出身校 | 東大谷高等学校 |
入団時の成績 | 47番/50名 |
入団期 | 88期生(→88期生一覧) |
愛称 | さゆみさん |
身長 | 173センチ |
初舞台 | 星組公演「プラハの春/LUCKY STAR!」 |
主な同期 | 朝夏まなと |