「宝塚を呼べる劇場に」との目標で、こけら落としには見事星組『ロックオペラ モーツァルト』を上演した、豊島区立芸術文化劇場「東京建物 Brillia HALL」。
ところが宝塚ファン、いえ、ミュージカルファン、舞台ファンからはあまり評判が宜しくありません。
鑑賞環境のさらなる向上を目指して! ブリリア改修
「ブリリアだから行くのやめた」とはっきり言う方も多いのが、悲しい事実です。
「国際アート・カルチャー都市」の拠点としてオープンしたはずのブリリアですが、残念ながら未だ拠点には遠い様子。
しかしファンからの不評が届いたのでしょうか?
座席の改修が発表されました。
今回は、こちらのニュースを紹介させていただきます。
二年がかりの分析も……
ブリリアの前身は「豊島区公会堂」です。
「誰もが主役になれる劇場都市」の中心として、シネコンを含む8つの劇場などからなるHareza池袋の目玉として設計されました。
どの客席からもステージがよく見えるように、災害時に安全なことを大前提に、CGを使い2年かけて客席の配置を計算したそうです。
しかし「宝塚を呼べる劇場に」との目標の元、設計図を引き直すことになってしまったとか。
宝塚のため、楽屋口を4トントラック用から、11トントラック二台分に。
楽屋の数、廊下の幅、エレベーターの大きさ、動線、そしてファン用に女性トイレを増やすなど、大幅な変更になってしまったそうです。
その結果は、宝塚ファンの皆様ならご存じの通り。
贔屓が出演しても「ブリリアなら行かない」という人が現れるような、ホールとなりました。
舞台がよく見えなかった方からは「宝塚のせい」と悪口を言われることもあり、本当に悲しかったです。
改修ポイントは3つ
発表された改修部分は、以下の三か所です。
・1階席の前4列の千鳥化 (2022年8月29日から9月2日を予定)
・2階バルコニー席の視認性を向上 (2022年12月26日から2023年1月3日を予定)
・3階バルコニー席の視認性の向上 (2022年8月29日から9月3日を予定)
一階席については、A列からD列のセンターブロック、11から30が千鳥になります。
バルコニー席につきましては、最大で横4席あったものを、すべて2席に削るようです。
多くの舞台で売り止めになっていたバルコニー席ですが、場所によってはストレスがないという話も聞きましたので、席を削ることで改善されそうですね。
一階席前方は首がかなりつらいという話も聞くのですが、千鳥化で何とかなるのでしょうか。
そもそも千鳥化はそこだけでいいのでしょうか。
それに2階、3階のてすりはどうにかならないのかな、とか。
そもそも音響はどうなるんだろうとか、いろいろ言いたいことはあります。
但し音響に関しては、舞台制作者の皆様のご努力で「ブリリア対策」のようなものが出来上がって、徐々に良くなっているようですね。
さらなる向上を
豊島区からのプレスによると「当劇場においては視認性、音質性能、安全性等の鑑賞環境の更なる向上を目指し、皆様がよりお楽しみいただける劇場になるよう引き続き努めてまいります」とのことです。
今後もさらなる改修が予定されているようですね。
あとは観客側の動線もよくなるといいな、と思います。
宝塚を目玉の一つとして歓迎してくれている、ブリリアです。
また宝塚仕様にしたことで、歌舞伎でもミュージカルでもバレエでも、どんな舞台にも対応できるようになったのだとか。
改善を進めて、みんなが喜ぶ劇場になってくれると嬉しいな、と思います。
観客の立場に立った劇場を
昨年の11月、「日本で今一番新しいホールです」と言われて、某ホールで舞台のお手伝いしたことがありました。
ホール自体はとてもきれいです。
開館したばかりなので汚さないようにと、ホールからのお達しがあったほどです。
大ホールのロビーと兼用のフリースペースには電源が多数用意され、待ち時間に観光名所を眺めながらパソコンで仕事をすることもできます。
今どきのホールだと感じました。
しかしロビーとフリースペースが同化したことで、動線が混乱。
もぎりの位置も「テーブルの位置どうする?」となり、コロナ対策の来場者チェックや手指消毒も、うまく場所が確保できずにバタバタに。
結局、一階で手指消毒と来場者チェック、二階で「いらっしゃいませ」とお出迎えするという、ややこしい形になってしまいました。
他にも疑問符が付くことが多く、新しいからいいというわけではないのだな、と実感しました。
本当なら新しい劇場ほど見やすく、使いやすくないといけないと思うのですが、なかなかそうはならなくて残念です。
設計者同士の、情報の共有ができていないからなのでしょうね。
実際シネコンでは新しいほど良くなっています。
やっぱり宝塚が好き
それに比べて宝塚は東西どちらも見やすくて、本当に素晴らしいですね。
四季も見切れ席の設定はあるものの、酷評は聞いたことがありません。
どちらもファンの立場に立って劇場を建てられるからこそだと、感じました。
ファン目線の劇場がもっと増えればいいな、と願うばかりです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。