宝塚歌劇団宙組の次期トップコンビが先日ようやく発表され、新しい宙組の誕生に期待が集まっています。
しかし、その前に宙組の8代目トップスターとして5年半も活躍をした真風涼帆(まかぜ すずほ)さんの集大成を見届けねば!
相手役である潤 花(じゅん はな)さんも真風涼帆さんと同時退団であるため、宝塚歌劇団も退団公演にはかなり力を入れています。
退団公演は3月11日が初日の『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』。
ボンドとはジェームス・ボンドのこと。そう、あの『007』の主人公です。
『007』は古くから愛されている作品であるため、特に若い人は「名前は聞いたことあるけど…」という感覚かもしれません。
宙組の『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』の初日前に『007』の前知識をしっかり入れて、作品をより楽しめるように一緒に準備していきましょう!
007とはジェームス・ボンドの殺人許可証ナンバー
まず、「007って何の番号?」という疑問から。
ジェームス・ボンドはイギリス人で、イギリスの秘密情報部に雇われた殺し屋(スパイ)です。
イギリスの秘密情報部とは、アメリカで言うところのCIAみたいな組織ですね。
ジェームス・ボンドは、国家が危険人物とみなしている犯罪者を秘かに追い詰めて始末する担当者、という感じです。
そしてその「国家公認の殺し屋」としての許可証ナンバーが007番、というわけです。
私もそうでしたが、「007ってミッションインポッシブルみたいなものでしょ?」と思っていました。
しかし、ミッションインポッシブルの主人公、イーサン・ハントよりジェームス・ボンドのほうがヒーロー感は薄く、躊躇なくバンバン人を殺します(笑)
その辺が『007』というタイトルがわざわざついている所以でしょう。
正義の味方!というよりは、手段を選ばずに極悪人を始末する殺し屋で、その手段が毎回ハードで冷酷、でもどこかオシャレでスマートなところが人気の秘密なのかなと思います。
そして大衆娯楽寄りのミッションインポッシブルよりも結構エグいシーンが多いので、大人向けの作品と言えるでしょう。
悪人を始末するためには、ボンド自身がハニートラップを使うなんていう卑怯な手も!
2006年にダニエル・クレイグ主演で再映画化されたカジノ・ロワイヤル編も、「ちょっと大人でもキツいな…」という拷問シーンが出てくるので、予習用に見る方はご注意くださいね(笑)
ジェームス・ボンドに関する詳細な設定に驚く!
「国家に雇われた凄腕の強い人が暗躍する」という物語はこの世にたくさんあります。
それらを押しのけて『007』がこれだけすごい人気を獲得しているのは、よく考えられたストーリー展開や人物相関というよりは、ジェームス・ボンドのキャラクター設定ではないでしょうか。
ボンドの性格や好みがとても細かく設定されていて、まるで本当にこの世に存在している人のようです。
- 暗く、かなり残酷な見た目で、右頬に3インチの長さの薄い垂直の傷跡、青灰色の目、短く黒い髪、身長は183cm、体重は76kg
- 仕事と娯楽の両方の理由で薬物をいろいろと使用している
- 尿酸値過多、肝疾患、リウマチ、高血圧、頭痛などを患っている
- 「あんな泥水を飲んでいるから大英帝国が衰退した」と言い切るほどの紅茶嫌いで、コーヒー豆はブルーマウンテン、コーヒーメーカーはケメックスを愛用
- ウォッカとマティーニを混ぜずにシェイクして舌がしびれるほど冷やして飲むのが好き
- ウォッカとジンをよくシェイクしてシャンパングラスに注ぎ、レモンの皮を入れるオリジナルのカクテルがある
- 「ウィンザーノット(ネクタイの結び方の種類)にしている奴は信用できない」と考えている
- 人種差別的、性差別的、同性愛嫌悪
- 1日に70本のタバコを吸っていた時期があった
スーパーヒーローのイーサン・ハントとはだいぶ違う悪人感がありますよね(笑)
これらは原作の小説の作者であるイアン・フレミング自身の嗜好もかなり反映されているようです。
実際、フレミング自身も工作員だった過去を持っているようなので、自身の特殊な経歴や性格を活かした、フレミングにしか書けない小説ということですね。
007シリーズの映画ではボンドが着用している洋服や靴、サングラス、それらの着こなしなどにも毎回注目が集まり、オシャレな英国人らしいセンスも人気の理由なのでしょう。
宙組バージョンでも真風涼帆さんがどんな衣装を見せてくれるのか、とても楽しみです!
ジェームス・ボンドと言えばボンドガール
『007』といえば、「ボンドガール」という言葉も思い浮かびますね。
「ボンドに協力する素敵な女性」というよりは、峰不二子のような気の強さと悪さも併せ持ったキャラクターが多いようです。
2006年再映画化の『カジノ・ロワイヤル』でのボンドガールは完全にボンドを騙し切り、ボンドも情けないほどに彼女に溺れます。
凄腕のスパイであるボンドを完全に騙すほどの賢さと美しさを持つ女性ということですね。
宙組版のボンドガールはもちろん、潤 花さんです。
公演解説を読む限りだと、ボンドを騙すほどのやり手美女、というよりはもっと宝塚のヒロイン寄りのような感じもしますが…
公演ポスターでの潤 花さんの扮装を見ると割と気の強そうな表情をしているので、潤 花さんの個性を活かした魅力的なボンドガールに作られているといいですね。
2番手時代の長かった芹香斗亜(せりか とあ)さんは近年悪役を演じることが多く、今回もやっぱり悪役です。
しかしトップスターになってからはもう悪役を演じることはありません。
男役の真風涼帆さんも最後、娘役の潤 花さんも最後、悪役である芹香斗亜さんも最後。
退団が発表されている、組長の寿つかさ(ことぶき つかさ)さんの男役もきっと最後でしょう。
いろいろな「最後」が詰まった作品になる『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』、舞台の隅々までしっかり目に焼き付けましょう!