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「宝塚らしさ」を誰よりも愛し、磨き上げた演出家

宝塚歌劇を楽しもう

谷先生といえば、まさに“宝塚らしさ”を体現された方でした。
初演出の『散る花よ、風の囁きを聞け』から始まり、大劇場デビュー作『秋…冬への前奏曲』まで、作品のひとつひとつが宝塚の美学と愛に満ちていました。

『エデンの東』『EL DORADO』『プラハの春』…名前を聞いただけで、あの舞台の色彩、音楽、そしてスターたちの熱演が蘇ってくるのです。
重厚な人間ドラマと煌めく舞台美術。

その両方を兼ね備えた作品が多かったからこそ、谷作品は“何度でも観たくなる”中毒性がありました。

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伝統だけじゃない、挑戦し続ける姿勢に心を打たれて

でも、谷先生の魅力はそれだけじゃありませんでした。
古典落語を題材にした『ANOTHER WORLD』。個人的には阪急電車ファンとしてはこのロケットの衣装が大好き。

星の王子さまの世界を舞台化した『サン=テグジュペリ』など、柔軟でユーモラスな作品にも挑まれ、「宝塚ってこんな世界も描けるんだ!」とファンを驚かせてくれました。

私にとって忘れられないのは、やっぱり『プラハの春』。
心が締めつけられるような歴史の流れの中で、それでも人は愛を信じ、生きる力を持つ…というテーマに、涙が止まりませんでした。あの時、舞台から感じた「生きる力」は、今でも胸に焼きついています。

谷先生が遺してくれたもの

2021年の『LOVE AND ALL THAT JAZZ』を最後に、オリジナル作品は幕を閉じましたが、先生の“宝塚への愛”は、作品を通して今も私たちの心に生きています。

宝塚の舞台が特別なのは、「夢の世界」を本気で信じて創る人たちがいるからだと思うんです。
そして、その「夢の世界」の設計図を描いていたのが谷先生でした。

先生がいなければ、私の宝塚人生も、もっと味気ないものになっていたかもしれません。
先生の作品にどれだけ泣き、笑い、ときめき、救われたか…感謝してもしきれません。

ありがとう、谷先生。どうか安らかに

突然の別れに、まだ心が追いつきませんが、ひとつだけ確かなことがあります。
それは、谷先生が創った作品たちは、これからも何度も再演され、語り継がれていくということ。
私たちファンは、あの名作たちを通して、これからも先生と出会い続けるのです。

谷先生、どうかANOTHER WORLDでも宝塚の舞台を演出し続けてくださいね。
心からの感謝とともに、ご冥福をお祈りします。