2019年1月の宝塚歌劇団月組バウホール公演『アンナ・カレーニナ』。宝塚友の会などではチケットの抽選が行われ始め、ポスターも出来上がった。
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各劇場にはチラシが並び、そのチラシさえも在庫なし!というところがあるんだとか・・・。
今回は期待高まるこの公演をフォーカスする。
美弥るりか『アンナ・カレーニナ』の出会い
それは、美弥るりかさんが音楽学校生だった頃のこと。
朝海ひかるさん主演『アンナ・カレーニナ』に魅了され、寮で毎日のように映像を観ていたという。
中でも貴城けいさん演ずるアレクセイ・カレーニン、つまりタイトルロールかつヒロインであるアンナの旦那さまに憧れたのだとか。
そんな美弥るりかに、運命的なチャンスが巡ってきた。
なんと、研究科6年目の頃、当時美弥さんが所属していた星組が、下級生中心のカンパニーでバウホール公演『アンナ・カレーニナ』を上演する運びとなったのだ。
そこで美弥さんは、配役を決めるオーディションに臨むこととなる。
「このオーディションでカレーニン役に選ばれなければ、退団も視野に入れよう。」
そんな覚悟で臨んだという。
というのも、今や月組の2番手スターとして人気の高い美弥さんだが、星組下級生時代はなかなかスターの登竜門をくぐることができずにいた。
現星組トップスター・紅ゆずるさん、現宙組トップスター・真風涼帆さんをはじめとする大型若手スターの勢いに押され気味の構図で、苦労や悔しさも少なからずあったに違いない。
そんなご自身の未来を、毎日観るほど思い入れた作品の、憧れの役に託したのだろう。
決死の努力と覚悟で臨んだオーディションの結果、見事憧れのアレクセイ・カレーニン役を勝ち取った。
当然美弥さんの努力による功績であるが、美弥さんをカレーニン役に選んでくださった先生方、そして当時の神様仏様にさえも、ありがとうと感謝を申し上げたい。
おかげで我々は、美弥るりかという素晴らしい男役スターを今も拝見することが出来ている。
さて、そんな美弥さんにとって運命の演目とも言えそうな『アンナ・カレーニナ』 に、今度は主演で挑む。
アレクセイ・ヴィロンスキー伯爵という、将来性のあるハイスペックな貴族将校だ。
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貴城けいさんの厳格な官僚・カレーニン、紺野まひるさんの知性と美貌を兼ね備えたアンナ、そして朝海ひかるさんのヴィロンスキー。
貴族社会という華やかな舞台で繰り広げられる、三角関係。
いや、三角関係などというチープな言葉では片づけられないほどには心にずっしりと寄りかかる破滅の恋、泥沼の。
なのになぜか、どこまでも果てしなく美しい。
命を投げ出してしまえるほどの愛だからなのか、鑑賞後は若干の爽快感すら得られる。
緻密で大人なお芝居が求められそうだが、これまでのそれぞれの経歴から見ても、美弥さん、そしてアンナ役の海乃美月さん、カレーニン役の月城かなとさん、まさにお三方にぴったりの配役だろう。
そんな許されざる愛と対比するかのように、田舎貴族の好青年・コンスタンチン・レーヴィン(コスチャ)とアンナの親戚・キティの純愛が描かれている。
2人の愛が実る場面は、まさに本作品のオアシス。
初演時はコスチャを立樹遥さんが素朴に、キティを舞咲りんさんが愛らしく好演。
今回は、コスチャに夢奈瑠音さん、キティに今年歌劇団に入団したばかりの104期生、きよら羽龍さんが配された。
夢奈瑠音さんの朗らかな笑顔に癒されること間違いなし、と言えそうだ。
もう1つ着目しておきたいのはダンスについて
そう、初演ヴィロンスキーの朝海ひかるさんといえば、ダンサー。
本作品も、ヴィロンスキーとアンナの感情や愛を表現する美しいダンスが魅力のひとつで、朝海さんも素敵なダンスを随所で魅せている。
美弥さんのダンスも、さすがはかつてバレリーナを目指したお方!といったレベル。
伸びやかでしなやかなのに、男役らしくビシッとキメるところはキメる、その緩急のつけ方が素晴らしい。
踊りのジャンルに合わせて、その技術力を柔軟にかつ1ミリの狂いもなく合わせてくるようなイメージだ。
情感こもった美弥さんらしいソロダンスはもちろんのこと、細身でキュートな海乃さんと、息の合ったデュエットダンスを魅せてほしい。
軍服姿の美弥さんを拝めるだけでも価値があるというのに、すでにチケット争奪戦必至状態。
まだ筆者の元にもチケットはやって来ないのだが、1人でも多くの人がこの公演を堪能できるよう祈りつつ、今回の記事を納めたい。
筆者:まや のあ