宝塚歌劇団というところは「人を育てる天才集団」なのではないだろうか・・・。
ふとそんなことを感じたのは、先日宝塚専門チャンネル「スカイステージ」で放送されていた「105期生の文化祭」の番組。
音楽学校の入学試験に「演技」はない
文化祭は、3部構成。
1部が歌、2部がお芝居、3部がダンス。
やはり歌とダンスについては入学試験の試験科目に入っているので、みなさんとても上手。
歌も特に上手は方はソロでも歌っているので、小さい頃から訓練してきたな・・という歌唱力。
特に娘役さんの方に多い。
男役さんは、おそらく、これまで経験したことのない音域や発声になるので、男役の声になるまでには、相応の経験を積まなければならないことは想像できる。
「完成」された男役の発声ができるのは、まだまだ先のことでしょう。(男役10年と言われていますからね)
3部のダンスもいい感じ。
注目すべきは第2部の「お芝居」です。
本当に不思議に思うのですが、なぜ、宝塚歌劇団は、「劇団」なのに、音楽学校の入学試験に「演技」の試験がないのだろうか?ということです。
第二部を見ていると、当然お芝居の経験がない人たちがほとんど。
生まれて初めて人前でお芝居をしました・・・という感じです。
中にはお芝居のセンスが良く、演技されている方もいますが・・・。
それでもまだまだ「素人集団」。ごめんなさいね。
別にディスっている訳ではありません。
実際に劇団に入団しているタカラジェンヌさんたちとの「差」に、ただただ驚いているのです。
今のタカラジェンヌさんたちも当然、音楽学校生のときは、こうだったのでしょう。
それが、今はすごいというこの「差」に驚いているのです。
そして、
音楽学校の入学試験に「演劇」がないということは、その「育成」に自信を持っているのだということです。
恐らく劇団側は、「演技力」は入団してから、育てます!!!!!!!ということなのだと。
その育成に絶対的な自信があるのだと。
だから、入学試験に「演技」がないのだと。
普通の劇団だったら、オーディションで必ず「演技」があるじゃないですか・・・・。
それがないのですから。
本当にびっくりしませんか?
新人公演と本公演でも同じことを感じる
宝塚歌劇団は、組子全員が出演する「本公演」と
本公演と同じ作品を入団7年目までの下級生だけで演る「新人公演」というものを観れる機会があります。
このときも同じことを感じます。
もちろん条件が、本公演は100回近い公演、新人公演はたった2回のみという条件の違いはあります。
そして、もちろん上手な方は下級生にもいらっしゃいます。
それでも、やっぱり本公演の上級生の方達のレベルは違うな〜と。
それだけ長い時間をかけて「育てられて」きたのだな〜と。
演出家の採用も実績は不問
宝塚歌劇団の演出家たちも、実は採用試験は、宝塚音楽学校よりも狭き門。
100名の応募で1名くらいしか採用しないという。
しかし、宝塚歌劇団の色々な演出家のインタビュー記事を読んでみると、
採用された方たちは、ほぼ、演出や舞台とは縁のない全くの未経験者という。
演出家を育てる基盤も宝塚歌劇団の中にはしっかり出来上がっているということでしょうか。
「宝塚歌劇団」という唯一無二のジャンルが生まれた
入学試験で「演技力」を見ない。そして、ゼロから育てる。
演出家もゼロから育てる。
それは、それはとても時間のかかることだと思います。
それでもあえて、ゼロから育てることにこだわる宝塚歌劇団。
そして、絶対的な自信を持って育てる。
どこか他で学んだ、別の色のついた「演技力」や「演出」は不要なのだろう。
だからこそ、「宝塚歌劇団」という唯一無二のジャンルが生まれ、そしてそれが100年以上も続くのだろう。
すごいぞ。
そして、ちょっとのぞいてみたいぞ、宝塚歌劇団の組織の中を。