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【宝塚トリビア】男役の声は、いつから低くなったのか?

宝塚歌劇を楽しもう

美弥るりかさんが、本日退団されてしまいます。なんだかとても寂しい気持ちを持ちながら・・・・。

美弥さんといえば、甘くて低いキーのお声がセクシーです。

では、男役の声っていつから低くなったか、ご存知ですか?

今回は男役の声が低くなった謎について解説したいと思います!

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ヒントは、初風諄さんが逸翁コンサートで言われていた。

「今の方は素敵ね、でも、いつからあんなに男役さんの声は低くなったのかしら?」と初風さんがおっしゃっておられたのです。

その時、「ゴンちゃん!?ゴンちゃんかしら!?上月晃さん。」とおっしゃっていました。

これはきっと、大ヒントに違いありません。

春日野八千代先生は、ソプラノの声で歌っていた!?

100周年の100曲が入ったアルバムは、春日野先生は「タヒチの歌」を歌われています。

タヒチの歌といえば南の哀愁。

ただ、その歌では春日野先生はそこまで「歌うま!」っていう感じがしないのですよね。

そんなわけで、宝塚歌劇団30周年の時に発売された春日野八千代特集を調べてみました。

春日野八千代先生のSPレコードが5枚組、春日野先生の生声まで入っています。

「宝塚歌劇団、30周年の記念すべき年に、このようなレコードを出させていただけることは、幸せでございます」

と、75年前の声が蘇ります。

そこで聞いてみる春日野先生の声。綺麗なソプラノです。

ソプラノで歌われると、オペラ歌手のような上手なハーモニーで、お歌、お上手ではないですか、とタヒチの歌の印象が覆ります。

では、戦前戦後のスターさんは男役でもソプラノで歌っていたのですよね。

戦後すぐのスター、寿美花代さん、越路吹雪さん、明石照子さん、淀かをるさんはどうだろう??

越路吹雪さんのブギウギ巴里なんかを聞くと、今の男役さんの声に近いものを感じることはあります。

ただ、いろいろなレコードを聞き比べていくとわかるのですが、「歌い手が、歌いやすいように、一番よく出るキーで歌っている」というのが本当のところです。

低いキーの歌もありますが、高いソプラノの歌もある。

そのどちらも上手に歌いこなしておいでです。

特に淀かをるさんなどはその高いソプラノの美しさから、主演男役をしてみたり、主演娘役をしてみたり、いろいろな活躍のされ方をしているので、役によってキーを変えられる歌うまであったことが間違いありません。

マル・サチ・おソノはどうだろう?

内重のぼるさん、那智わたるさん、藤里美保さんのことをマル・サチ・おソノと言います。

この3人でとても人気があった時代のことをいうわけですね。

内重のぼるさんは初演の霧深きエルベのほとりの主演ですが、うたかたの恋も内重さんが歌ってレコードになっています。

ソプラノの声もお上手なんですよね。

那智わたるさんはオールマイティーな方。淀かをるさんを少しキーを下げた感じで、上から下までどんと来い!というキーで歌われます。

一方、藤里美保さんは綺麗なひらひらひら〜といったソプラノで歌われます。

浜木綿子さんと歌われる「波間に何か漂う」など、声を知らなければどちらが藤里さんかわからないほどだと思います。

3K、真帆志ぶきさん、ここで低音ボイス、きたー!

3Kというのは、上月晃さん、甲にしきさん、古城都さんの同期生のトリオを言います。

全員が同じ舞台に立つことはないのですが、3組のトップとして人気をわかっていたということです。

真帆志ぶきさんは言わずと知れたノバ・ボサ・ノバの初演の方。

別名「ミスター・パーフェクト!」何をやらせてもパーフェクトなので、鬼のストーン先生をして「ミスターパーフェクト」と言わしめたのです。

初風さんが「ゴンちゃんかしら!?」と言われた上月晃さんがここで出てくるわけですが、上月さんはバケモノ級の歌ウマの歌い手さんです。

本当に、上から下まで、淀かをるさんと那智わたるさんを足したような音域の持ち主。

ミスターパーフェクトも同じです。音域が広いのなんの。それを余裕綽々で歌い上げます。

そこで残るお二人、甲にしきさんと古城都さん。

このお二人のキーが、現在の宝塚の男役の原型に見えますね。

ウエストサイド物語、嵐が丘、この恋は雲の涯までなどお二人ともいろいろな代表曲をお持ちですが、発売されているレコードを聴いている限り、今の男役のキーに近いですね。

ここから、男役のキー、娘役のキー、と分かれたのだと思います。

ただ、無理に男役のキーに合わせることもないと思うのですよね。

いろいろなスターさんがいていいと思っています。

退団したトップさんが、お歌は苦手かなと思っていたけど、自分に合うキーで歌ったら上手だったなんてこともありますし、男役のキーに合わせることで、歌の上手さが減るようならば、劇団の先生は少し考えてほしいなあと思う今日このごろです。

ライター:水城 稜