宝塚歌劇団の宙組公演『壮麗帝』を観劇してきました。
宙組三番手スターの桜木みなとさんの待ちに待った東上公演。
本来は3月から4月にかけて全26公演を予定されていましたが、再開後の予定は5日間でたったの8公演…!
しかもソーシャルディスタンスを保つために座席が半分以下になり、1公演につき450席にも満たない座席数という、チケットがとても希少な公演となってしまいました。
題材はオスマン帝国第10代皇帝のスレイマン一世の生涯。
スレイマン一世はオスマン帝国を最盛期に導き、“壮麗帝”と称される人物。
タイトルの通り、その壮麗帝を演じる桜木みなとさんへの期待高まる公演です。
プレ画像や公演ポスターで髭をたくわえた姿が印象的で話題にもなったと思います。
宝塚らしい作品
観た後の感想としては、とても宝塚らしい作品を見た!という満足感がありました。
和希そらさん演じる腹心イブラヒムとの信頼関係や行き違いによるぶつかり、遥羽ららさん演じる寵妃ヒュッレムとの心の通わせ方…。
トルコの皇帝の話は、宝塚では珍しいように思える題材ですが、何故今まで宝塚でやっていなかったのだろう…!?と思うくらい、おいしい人間関係が繰り広げられるお話でした。
フィーナーレに男役群舞とデュエットダンスもあるのも本当に嬉しかったです。
真風さん主演の『フライング・サパ』は宝塚では一風変わったSFものだったので、宙組の外箱公演2公演は対照的で両方観ておいしい組み合わせになっていましたね!
しかし皇帝の若かりし時から老年期まで、およそ50年を描いているため、あと30分ほど時間があれば、もっとそれぞれの関係性や思惑をしっかり知ることができたのにな…とちょっと残念に思う部分も。
贅沢な願いかもしれませんが…
間違いないキャスティング
それでも、桜木みなとさんのキラキラと美しくさわやかな青年期から次第に威厳のある皇帝へと成長していく姿、皇帝であるための苦悩を抱えた姿はとても見事で素敵でした。
気品があって優しく、聡明な皇帝はいかにも桜木みなとさんにぴったりですよね!プロローグ登場時の貴公子然たる姿、それだけで浄化される様な美しさでした。
遥羽ららさんのヒュッレムもとても可愛らしく、かつしっかりと自分をもち、皇帝への愛を注ぐ姿が素敵でした。
お稽古映像でも話題になった「お前は可愛いな…」の場面!
桜木さんと遥羽さん見つめ合うお2人の横顔がとっても美しいんですよね…。
和希さんも、腹心イブラヒムとして皇帝を尊敬し、信頼しながらも自身の考えをつらぬく姿、素晴らしかったです。
桜木さんとの熱いお芝居、独白の歌の場面、どれをとってもさすが和希さん…!間違いない実力です。
スレイマンの苦悩はイブラヒムがいてこそなので、物語の最も重要な人物としてとても重みがありました。
頭に入れておくとわかりやすくなるかもしれないオスマン帝国
ヨーロッパの物語は見慣れているので、ヨーロッパの慣習などはなんとなくわかりますが、オスマン帝国はいろいろと新しく知る慣習が出てきます。
皇位継承やハレムについての説明は劇中でしっかりありますが、説明されること以外で知っておくとより『壮麗帝』が面白くなることをご紹介します。
オスマン帝国の奴隷と宗教
オスマン帝国はイスラム教です。
奴隷は、イスラム教圏以外から連れてこられた人が沢山います。
基本的に、ハレムへ連れてこられる側女はイスラム教以外の教徒でないといけません。本人の希望でイスラム教に改宗でき、新たに名前をつけられます。
女官と側女の違い
女官はハレムで主に側女たちの世話をする仕事で、皇帝の寝所へ呼ばれることはありません。ヒュッレムははじめ、自分が女官になるものだと思っていました。
ヒュッレムの好きなお菓子
劇中に出てくるヒュッレムの好きなお菓子。
スレイマンは「甘いな」と顔をしかめますが、これは、ロクムというお菓子です。
ターキッシュディライトとも呼ばれるこのお菓子は、砂糖と水にコーンスターチを加えて練り、ナッツを加えて固めたもの。日本のお菓子だと、ゆべしが近いかもしれません。
マニサ
後に第一婦人マヒデヴランと息子ムスタファが行く土地、マニサ。
実はスレイマンとその母、ハフサも若かりしころはマニサにいました。
お芝居で最初にスレイマンとイブラヒムが出会う場面も帝都イスタンブールではなく、マニサです。
皇子は皇帝になる準備として、まずは地方都市を納める慣習があります。
無事に千秋楽を迎えますように
次々と公演が中止になる中、無事初日の幕をあけた『壮麗帝』。
とてもチケットが少ない公演となりましたが、公演があるというだけで、舞台上で輝くタカラジェンヌさんがいるというだけで、救われたような、幸せな気持ちになりますね。
どうか無事に今日18日のオンデマンド配信のある千秋楽を迎えてください!!
(ライター:霧村さえ)