コロナウイルスの出現により、たくさんのスケジュールに狂いが出てしまった宝塚歌劇団。
しかし、スタートが五組のうち一番最後になった月組も、ようやっと舞台の幕が上がり、ただいま公演真最中です。
わたし自身、久しぶりに劇場に向かい、観劇することが出来たのですが、「なんということでしょう」。
「これぞ宝塚!」の二本立てを思う存分浴びることのできる贅沢な公演でした。「やっぱり生の舞台は良いものだなあ」と骨身に沁みました。
日本物のショー『WELCOMETOTAKARAZUKA』
まずは日本物のショー『WELCOMETOTAKARAZUKA』です。
日本物のショーは宝塚でも数年に一度しか行われません。
「ショーはキラキラバチバチの洋物が良い!」「日本物は……」と食わず嫌いされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
けれど、この公演でその苦手が払拭されるという自信があります。
だって、凄く良かったんです!!!
久しぶりに行われた日本物レビューだったわけですが、「日本物のショーの中で一番好きかもしれない。
しかも、宝塚ならではの日本物ショーだ」と拍手が止まりませんでした。
これ、これが宝塚の日本物のショーだよ!
チョン・パからはじまる豪奢な雰囲気は、日本物ならではの圧巻的な艶やかさです。
はじまりこそ王道なのですが、場面が展開するごとに流れるクラシックとの融合がかなり格好いいです。(それゆえ、映像も洗練されていてすごく素敵なのです)
ヴィヴァルディ『冬』、ベートーヴェン 『月光』、チャイコフスキー『くるみ割り人形』がそれぞれ、雪、月、花の場面で使用されています。
「こんなにお洒落な日本物のショーがあるなんて」と感心してしまいました。
今回で退団される松本先生もさすがの一言です。凄く若々しい……。
素敵な歳の重ね方です。
また、シャベ化粧、みなさん本当に美しいですね。
あの美しさ、恍惚としてしまいます。
スチールでさえ胸を抑えたのですが、とくに月城かなとさんはもう、「綺麗な人形だ…」という感想がこぼれ落ちそうでした。
全場面素晴らしかったのですが、下級生のお話をひとつさせていただきます。
プロローグで娘役二人の美声が聴けるのですが、Aパターンはきよら羽龍ちゃんと清音ほたるちゃんでした。
きよら羽龍ちゃんの歌声は前々から聴く機会が何度かあったのですが、静音ほたるちゃんの歌声は初めてしっかり聴くことが出来まして。
「綺麗な声!お上手!」と心の中で大盛り上がりでした。
若手娘役の綺麗な歌声を発見すると、これからの活躍に期待が広がりますね!
これは先日初日を迎えたばかりのBパターンも、耳を澄ませに行きたいと思いました。
『ピガール狂騒曲』
続いて、『ピガール狂騒曲』についてです。
衣装や舞台装置がいつもお洒落な原田先生。
今回は偉人シリーズではなく、20世紀号よりのコメディだったのですが、「この演目を月組で決行したの、大正解!」と深くうなずいてしまいました。
「男だとか女だとか、性別なんてなんだっていいのよ!」が大まかなメインテーマだと思うのですが、まあとにかく楽しい。
つべこべ言わずに楽しい。
上級生の役のはまりっぷりとか、隅々まで観たくなるような子芝居があちこちで繰り広げられているところとか。
「ああ、わたしはいま、月組を観に来ている!」という実感が凄く湧きます。
みんな器用で、お芝居を楽しんでいて、世界の憂鬱をぜんぶ忘れて笑顔になれるような最高の空間でした。
今回は、二役をこなすことになった珠城りょうさん。
自立心の強い女性が似合いすぎる美園さくらちゃん。
夢を持つ素敵で良心的なおじ様月城かなとさん。
良質なコメディを差し出してくれる鳳月杏さん。回転数のやばい暁千星さん。
相変わらず上手すぎる千海華蘭さん。最高に笑わせてくれる光月るう組長。
などなど、感想をしたためたい役柄はたくさんあるのですが、みなさんが一様に「おいしい役」と口にするのが風間柚乃さん演じる弁護士役ボリスです。
しかし、勘違いされてはいけないと思い、このたび声を大にしたいと思います。
風間さんの役は、とくに歌があるわけでも、セリフが多いわけでもないのです
おいしい役、だと言われやすいと思うのですが、他の人が演じてもおいしい役になるかどうか分からないのです。
もうほんとうに、風間さんが上手すぎて、「おいしい役にならざるを得ない」という表現をした方がいいと思います。
顔の表情、手の動き、子芝居の仕方、動き方。その全部が浮かずに溶け込み、笑いになる。
風間さんの方をちらちら見たくなる。
そんな、とても難しいことをやってのけてしまえるので「おいしい役」に見えるのだと思います。
とにかく今回の月組公演、上越生から下級生に至るまで「素晴らしい」の一言ですし、「月組、みんな歌うまい…カンカンかわいい…」といくら褒めても足りないくらいです。
「ああ、こっちが見たいのに、あっちも見たい」「え、今これ反対側はどうなってる?」「ええ、あっちもこっちもすごい!」と目まぐるしく舞台全体をオペラグラスで追いかけてしまいます。
つまり、目が足りません。
「今度はあの場面、上手を見なきゃ!」と心が興奮して、当然のようにチケットを追加しました。
マスクと消毒、きっちりマナーは守って観劇したいと思います。
こんなにも両方「楽しい!やっぱり宝塚が大好き!」と思わせてくれる二本立てって、なかなか珍しいように思います。
本来ならばオリンピックの時期だったので、初めて宝塚を観る方にもぴったりだったのになあと口惜しくなりますが、ジェンヌさんたちがようやっと舞台に立つことができた喜びを考えるだけでニコニコしてしまいます。
今回の月組公演、収容人数100%を急遽実行するために、追加販売方法などがよく分からなかった方も多いのではないでしょうか。
また、遠征を控えている方も、家族に観劇を止められる方もいらっしゃると思います。
11/1(日)と、まだまだ先ではございますが、千秋楽の配信がありますので、劇場に観に行けない方も、映像でもいいので一度は堪能していただけたらと思います。
とにもかくにも、「月組最高!!!」でした。
月組万歳!!!無事千穐楽まで駆け抜けてほしいですね。