少し前の話にはなりますが、宝塚歌劇団で大きな人事が発表されました。
タカラジェンヌさんの話ではなくもっと内部の話になりますが、宝塚歌劇団の新・理事長に現・宝塚音楽学校理事副校長である木場健之さんが内定したという人事です。
あまり宝塚に詳しくない方であれば「別に劇団の理事が替わったくらいで…」と思われるかしれませんが、そうではないんです。
どんな組織であれトップが変われば内政が大きく変わるものです。
木場健之さんは1986年に阪急電鉄に入社され、2005年に月組プロデューサーを経て2019年4月から宝塚音楽学校副校長に、2020年10月からは宝塚歌劇団の理事を兼任されておられました。
さて、長年宝塚を追っている方々からするとこの木場さんある意味トラウマになりかねない存在ということを覚えておられるでしょうか…?
2005年から2019年の月組P時代に何があったか
サクッとご説明させていただきます。
まず2005年のエリザベートでトップスターであった彩輝なおさんがトート閣下、当時その直前に相手役であった映美くららさんが退団され相手役が不在という時期でもありました。
そこで抜擢されたのが2番手であった瀬奈じゅんさんです。
歴代でも初めて男役でエリザベートを瀬名さんが演じられたのです。
退団後に東宝ミュージカルにて瀬名さんはエリザベートを演じられておられましたが、実はその前にも演じられていたのです。
もちろん男役さんが女性役を演じる所謂女役を務めることはそれまでにもありましたし、今も行なわれる手法です。
基本的には気の強い女性であったり男装の麗人であったり…。
そういう意味ではエリザベートは気の強い現代的な女性であったという解釈をもってすれば当てはまるのかもしれません。
しかしエリザベートはヒロインです。
「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラは男役が演じることもありましたが、あくまでもそれは例外。
まさかエリザベートで男役、しかも2番手が?ということで当時かなりざわつきました。
そして次いで2009年エリザベート再演。
今度は満を持して瀬名さんがトップとしてトート閣下を演じられていたのですが、その当時これまた瀬名さんも相手役が不在でした。
そこで抜擢されたのが今や専科でご活躍されてはいるものの当時は研究科7年であった凪七瑠海さんでした。
同年凪七さんは新人公演をご経験されましたが、この公演の時はまだ新人公演主演を経験される前。
その上、番手もついていない若手男役ということで、瀬名さんがエリザベートを演じられた時以上のどよめきがありました。
エリザベートは他の作品とは違いタイトルロールがヒロイン名。
本来東宝ミュージカル等の外箱ではエリザベートが主演となっています。
宝塚歌劇団では男役が主演であることが大前提であるため、トート閣下を主演に据えているにすぎず、娘役さんが単身でご退団される際や退団をご決意される作品としてもこれまで何度も選ばれてきたほどです。
そんな作品でその役を若手男役が…。
もちろん現在も芸達者な上に美麗なビジュアルをお持ちの凪七さんですから歴代の方々とも引けを取らない出来映えではありましたが、その重責を想うと心の痛みすらありました…。
そしてその後2012年の「ロミオとジュリエット」そして2013年の「ベルサイユのばら」。
何れも龍真咲さんがトップスターであった時代の話になりますが、その後花組でトップスターになられた明日海りおさんが準トップスターとして龍さんとWキャストを演じられるという珍事件がありました。
Wキャストにはもちろん魅力がありますし、1つの作品でご贔屓さんの色々な姿が見られるというのは嬉しいものです。
しかし仮にもトップスターさんなのに主演作品ではなくなるというのはかなりの珍事件ではありませんでしょうか。
ジェンヌさんのことが好きだからこそ楽しいけれども、なんとも言いがたい感情に見舞われる時代でもありました…。
そしてその後しばらくの間月組では2番手不在が続き、月組ファンの皆さんの心中お察しいたします…。
結局はご存知の通り珠城りょうさんが2番手に就任し美弥るりかさんは3番手、そして凪七さんは専科へと組替えとなりました。
その後珠城さんがトップスターになり、美弥さんは2番手になったものの久しぶりに俗に言う2番手切りという結果となりました。
もちろんどの人事もなんらかの意味があってのこと。
私達ファンが見える部分だけではどうしても計り知れないことがあります。
しかし最近発表される人事の流れを見ていると過去の月組人事を思い起こされて不安が募るばかり…。
花組の2番手、そして月組次期トップコンビはどうなっていくのか。
ただただ知らせを待つばかりです。
ちなみに、現・理事長の小川友次さんは4月1日付きで退団されたOGの皆さんのマネジメント等を行なう「タカラヅカ・ライブ・ネクスト」の代表取締役に就任されるとのこと。
今後のお知らせがタカラジェンヌさんとそしてそのファンの皆さんのお心に安寧をもたらす人事であるよう心から願うばかりです。