宝塚歌劇専門チャンネル「タカラヅカスカイステージ」の番組「スターロングインタビュー」は、各組のスターがこれまでの舞台を振り返り、その時の想い、エピソード、宝塚への想いをたっぷりと語る番組です。
9月は雪組娘役トップスターの真彩希帆さんが登場しました。
雪組トップスター望海風斗さんとトップコンビを組んだのが2017年。
歌唱力のある二人の舞台はどの公演も好評で人気が高く、順風満帆の雪組のトップコンビといった印象です。
真彩希帆さんは歌唱力で注目されて順調にトップになられた方と思っていました。
ところが、インタビューを聞いていて、とても波乱万丈な道のりだったことを知りました。
スターロングインタビューより
最初は男役を目指していた
音楽学校の受験で、いきなり最初の波乱が真彩希帆さんを襲います。
宝塚が大好きで特に男役に憧れ男役を目指していた真彩希帆さんでしたが、受験会場で男役としては身長が低いことに気が付きます。
合格できないと直感し受験会場を出てすぐにスクールの先生に相談して娘役志望に転向することを決意。
翌年、念願かなって音楽学校に合格したというのです。
この内容は、以前新妻聖子さんとのトーク番組でもお話されていました。
小学生の頃から男役を目指して男の子みたいに活発に過ごしてきた子が、なんとしても宝塚に入りたいからと髪を伸ばして女の子らしく振舞うようにしたというから凄いですね。
怒涛の2年だったと振り返る真彩希帆さんでした。
娘役志望で音楽学校に入学したが高音が苦手?!
予科生活がはとても楽しく特にお芝居の授業が楽しみだったという真彩希帆さんですが、当時は高い声が苦手で特にクラシックは高音が出なかったそうなのです!
今の真彩希帆さんからは想像できません。
毎日イタリア歌曲のCDを聞いて真似をして声の出し方を先生に聞いて勉強したそうです。
今のあの美しいソプラノの声は努力のたまものなのですね。
初舞台のラインダンスは苦手なバレエの振り付け
98期として宝塚歌劇団に入団した真彩希帆さん。(→98期生一覧)
同期生は暁千星さん筆頭にダンスの得意な期ということで、ラインダンスはクラシックな振り付けだったそうです。
けれども、実はバレエの足があまり得意ではなかったため、苦労されたそうです。
花組に配属されるが、その後2度の組替え。
花組配属
初舞台後、組まわりを経て花組の配属となりました。
配属後すぐの大劇場公演では、オーディションによりソロで歌う場面を与えられ、明日海りおさんのディナーショーに最下級生で出演。
明日海りおさんとロミオとジュリエットの曲をデュエットするなど歌唱力で注目されていたようです。
また、望海風斗さんのスカイステージの番組で、歌いたかった「ファントム」の「home」をデュエットしたことも今や伝説ですね。
とても楽しい花組生活だったとお話しされ、ようやく花組にも慣れて上級生とも話ができるようになり、自分のことも理解してもらえるようになった時に、星組への組替えの話に泣いたそうです。
星組へ組み替え
しかし、星組での期間もとても濃いものになったようです。
「星組では妃海風さんと出会えたことが大きかったです。娘役が大好きで娘役の手先の使い方・男役さんを見る時の体のラインなど娘役の研究をし、誰よりも早く自主稽古に来て練習をするストイックな方。
でも話すと気さくで可愛い、私の理想の女の子がそこにいると感じました。
『こうもり』の新人公演で一度だけのヒロインを演じたのも妃海さんの役でとてもうれしかった、憧れの人です。」
新人公演のヒロイン役は1回だけだったんですね。大変驚きました。
また、「ガイズ&ドールズ」では礼真琴さん本役のアデレイト役を演じ、その後「鈴蘭」で、礼さんの相手役としてバウ公演で初ヒロインとなりましたが、その時はまだ、新人公演のヒロインを経験していなかったということにも驚きました。
次々と抜擢はされていたけれど、多くのトップ娘役になられた方が歩むような道順ではなかったのです。
「新人公演でヒロインを経験していない私が、ヒロイン役でよいのか」そんな思いがあったと話されました。
その後「桜花に舞え」の愛奈姫役、七海ひろきさん主演の「燃ゆる風」でヒロイン役と経験を積んで楽しく充実した星組生活を送っていたところに、またも組替えが伝えられます。
雪組へ組み替え
「なぜ私はまた組替えするのか?星組には必要のない存在だったのか?」
「組替えしたら私はどうなってしまうのか?」とまで思いつめ不安だったそうです。
この真彩希帆さんの組替えが発表された時、真彩希帆さんは望海風斗さんの相手役になるんだろうという予想を多くの方がしたと思うのですが、ご本人は組替えが続くことに不安しかなかったということに驚きました。
「望海風斗さんの相手役になるので雪組に組替えしてください」という話ではなかったということですよね。
組替えのタイミングは2度ともトップコンビの退団公演
星組に組替えの時は柚希礼音さんと夢咲ねねさんの退団公演。
雪組に組替えの時は早霧せいなさんと咲妃みゆさんの退団公演。
真彩希帆さんの組替えは、どちらもちょうど組の体制が変わる直前のタイミングの組替えだったのです。
組の体制がしっかり出来上がりトップコンビの最後を見送るという時に新たに加わるというのは、ちょっと入りづらい、自分が入っていいのかという気持ちになったといいます。
しかも2回とも同じ状況というのは辛いですね。
雪組次期トップ娘役に就任するが不安で一杯だった
雪組に組替え後、次期トップ娘役に就任が決まります。
「本当に私で大丈夫ですか?」「この先私はどうなるのか?(恐怖に近い心境)」
「神様がくれたプレゼント、感謝しなければと思いました。」
プレお披露目の公演の時は
「緊張して頭が真っ白になるくらい自主稽古をした」
「シャロンがわからない」
そんな時にリードしてくれたのが望海さん。
初日前日に二人で打ち合わせをしている時に不安がMAXになり泣いてしまった真彩希帆さんを励ましてくれたのも望海さんだったのです。
「きっとお客様は喜んでくださる、信じて頑張ろう」と言って励ましてくれたそうです。
プレお披露目の公演の初日の大きな拍手を一生忘れないという真彩希帆さんです。
お披露目公演の「ひかるふる路」では「頭の中が一杯で、アドバイスされても頭に入らない、やってみますと言ってみても手も足も出ない」という状況になるなど、まだまだ不安が続いていたようです。
しかし見事に舞台を務められました。
この舞台、私の観劇した中で一番というくらいに泣いたお芝居でした。
望海さんの隣にいられる幸せ
その後「誠の群像」「凱旋門」「ファントム」など大役を経て、ようやく自然体でいられるようになり、組のみんなのこともみられるようになったそうです。
とにかく、尊敬してやまない望海さんの隣にいられることが幸せを連発する真彩希帆さん。
「トップになれたことがうれしいのではなく、トップになってキラキラ輝く望海さんの隣にいられることが幸せです。だから、今後も娘役を突き詰めて突き詰めて突き詰めていきます!」と意気込みを語る真彩希帆さんでした。
舞台では、明るく生き生きと演じている真彩希帆さんを見ていると、そんな波乱万丈な道があったことなどみじんも感じられません。
それを乗り越える強さと努力があったからこそ今の真彩希帆さんがあるのですね。
そして、トップ娘役になってからは不安でくじけそうな時に望海さんのリードがあったから乗り越えられたのですね。(望海さん素敵!!)
次回の公演は全国ツアー公演「はばたけ黄金の翼よ」ですね。
かつて一路真輝さんが演じたクラリーチェ役をどんな風に演じてくれるのか楽しみです!