宝塚歌劇団星組公演「エル・アルコン-鷹-」は、2020年11月20日~28日とたった8日間の短い期間で幕を閉じた。
千秋楽の様子は、梅田芸術劇場・各地映画館・ライブ配信と、様々な観劇方法がありましたよね。
生観劇が一番!とは思えども、筆者はライブ配信にて観劇しました。
今回は、そのときを振り返った観劇感想です。
グランステージ「エル・アルコン-鷹-」
<あらすじ>
主人公ティリアン・バーシモンは、世界に広がる七つの海を制覇するという夢を追いかけていました。
そして、その夢を実現するためにティリアンはあらゆる手を使いのし上がっていきます。
ただ、手段を選ばないがゆえのそののし上がり方に、ティリアンを憎む者も多くなっていき…。
そんな中、ティリアンは女海賊ギルダと出会います。
憎み、戦い合う2人ではありましたが、それはいつしか愛に変わり…。
感想
本作品の主役はダークヒーロー(悪役)。
主人公がダークヒーローで周りが敵だらけという構成は、宝塚歌劇では珍しいですよね。
それがスパイス的要素となり面白いお芝居ではあったのですが、ただ、ストーリーとしては「ちょっと詰め込みすぎかな?」という感じではありました。
特に、内容がスペイン・フランス・イギリスと3つの国が絡んでくるので少々複雑…ジェンヌに目を奪われてばかりいると、内容が頭に入ってこないという…。
内容も把握するよう意識していないと、お芝居から置いてけぼりを喰らってしまうんです。
なので、これから円盤でご覧になる方は、ぜひ頑張って喰らいついていっていただきたい!
もしくは、原作(少女漫画)で基礎知識を得てからの方が頭に入りやすいのかもしれません。
でもでも、礼真琴さんの黒髪長髪のダークヒーローはかっこよかったですよ!
歌が多めということもあり、礼真琴さんのイケメン低音ボイスが堪能できたのも満足でした。
さて、そんな礼真琴さんのティリアンですが、これがとにかく人々を騙し陥れる悪の天才で。
人の陥れ方はいろいろありまして、例えば「濡れ衣を着せて処刑」「誘惑して利用して邪魔になったら殺害」などとなかなかの悪っぷりなんですよね。
これなら周りが敵ばかりになるのも当たり前…ではあるのですが、それでも慕ってくれている部下(ニコラス・咲城けい)はいるというのがちょっと不思議。
ニコラスは、ティリアンのどこに魅力を感じていたのでしょうかね…そこがちょっとよく分かりませんでしたが。
何だか宝塚歌劇としては不思議な作品を観たような気がしました。
配役的には、「ダークヒーロー:礼真琴」に対し「ホワイトヒーロー:愛月ひかる」と、印象が真逆な2人が演じるというだけあって、ちょっと観る方(演じる方も?)が慣れない配役だったようには思えます。
ただ、この辺は通常公演であればクリアではないかと。
今回は8日間の短期公演、演じる方も観る方も慣れないままで千秋楽を迎えてしまったのかもしれません。
そうはいっても素敵な作品であったことは間違いなし!
例えば…
舞空 瞳(ギルダ):大きな衣装を着こなし歌い踊る姿はかっこよかった!
桜庭 舞(ジュリエット):ぶりぶりのお衣装&お芝居がとても可愛かった!
綺城 ひか理(ジェラード):渋くて背が高くて萌えた!(万里 柚美さんとカップルというのもまた萌えポイント)
天飛華音(ブラック):研5ながらの堂々とした演技がGood!
などなど、ステキ!萌える!と思えるポイントはたくさんありました。
もちろん、この他の脇を固める生徒たち(上級生下級生問わず)もすばらしかったですよ。
Show Stars「Ray -星の光線-」
ショーは、『眩耀(げんよう)の谷 ~舞い降りた新星~』に引き続き「Ray -星の光線-」。
これで見納めです。
とにかくパワフルなショーでしたよね。
萌えポイントとしておススメなのは、オープニング最後の場面。
綺城ひか理さんに誘惑(?)された舞空瞳さんが、礼さんではなく綺城さんの元にいってしまいます。
すると、それに気づいた礼さんが舞空さんをグイっと引き寄せる…というもの。
なかなか憎い演出で、思わず「おぉ!」と声を出してしまったのは筆者だけではなかったはず?
ショー全体としては、ジェンヌさん達の歌がうまくなったなという印象がありました。
自粛期間中に努力されたのでしょうか…特に、舞空瞳さん・綺城ひか理のお二人はそんな気が。
綺城さんに至っては、ショーの後半になるほどに熱が帯びてかなりの迫力。
まさかの高音ボイスも披露してくれて、それはもう眼福ならぬ耳福ものでした。
舞空さんの歌も前回のショーから比べると、かなりスキルアップした印象です。
可愛らしい見た目ももちろん、ダンスだけでなく歌も上手となったら無敵ですよね。
現星組トップコンビならではの高速デュエットダンスもかっこよく、「今の星組を観させてもらった!」まさにそんなショーでした。
ちなみに、エトワールの桜庭舞さん。
安定の上手さで「さすが!」の一言でしたよ。
最後に
今回は、梅田芸術劇場での千秋楽ということで、最後にご挨拶とご当地ジェンヌ紹介がありました。
通常、ご当地ジェンヌ紹介といえば公演地の出身ジェンヌだけが紹介されますが、今回は礼さんの気配りなのか大阪府だけでなく「京都府」「兵庫県」までもが紹介されたんですね。
また、そんな珍しいご当地ジェンヌ紹介だけじゃなく、「星組も千秋楽に恒例の何かがやりたい」ということで、礼さんから1つの提案がありました。
星組恒例としたい挨拶として、このとき行われたものは「熱いぜ!星組!」「燃えろ!星組!」「進め!星組!」「星組!パッション!」というもの。
この星組恒例のご挨拶、定着するといいですよね。