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宝塚のレジェンド・轟悠さんと5組の特出共演

宝塚歌劇を楽しもう

宝塚歌劇団のレジェンドと呼ばれている専科の轟悠さんの退団公演となる『婆娑羅(ばさら)の玄孫(やしゃご)』が梅田芸術劇場での千秋楽を終え、いよいよ東京でのラスト公演が始まります。

轟さんは71期生ですので、現在研37。

37年間もずっと制約の多いタカラジェンヌでありつつ、歌劇団の中枢を守り続けてきたのは本当にすごいことです。

理事、特別顧問、という役職にも就き、このまま終身名誉スターとして第一線で活躍、もしくは経営陣として歌劇団を支えていかれるのだろうとみんなが思っていたところ、意外にも退団を発表されて衝撃を与えました。

しかも、緑の袴を穿いて大階段も降りず、サヨナラショーも行わず、別箱の主演舞台の千秋楽をもって歌劇団を去るというなんとも静かな卒業を選ばれました。

後進の育成なども含め、偉大なる貢献を続けてきた轟悠さんの迫る退団日を前に、これまでに特別出演されてきた本公演作品をここにまとめてみたいと思います。

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専科生として最初の特出は花組

「トップオブトップ」という新しい存在として本公演に出演したいちばん最初の作品は、2003年花組『野風の笛』/『レヴュー誕生』でした。

元雪組トップスターの轟さんが特別出演ってどういうこと?

パレードはどうするの??と当時はファン全員がその新しい試みに注目していました。

蓋を開けてみたら、お芝居ではトップスターの春野寿美礼さんとW主演、ショーでは一部分的に出演、パレードではエトワールをされ、羽根の大きさやお衣装は春野さんと同等、という結果でした。

当然ですがこの公演で轟悠さんは初エトワールとなり、その新鮮さにも注目が集まりました。

お芝居は轟悠さんの真骨頂である和モノでしたし、その所作や芝居の作り方など、初共演の組子が多かった花組生は非常に多大な刺激を受けたことと思います。

古巣に凱旋!雪組ファンも待望の特出

雪組ファンとしてはお待ちかね!
2作品めにして早々に古巣の雪組に凱旋されました。

作品は2004年『青い鳥を捜して』/『タカラヅカ・ドリーム・キングダム』。

『青い鳥~』のほうはスーツモノの軽快なコメディーで、轟さんの雪組トップ時代に公演して大好評を得た『再会』のような、思いっきり笑えるハッピーストーリー。

『ドリーム・キングダム』のほうはトップスターの朝海ひかるさんの中世的な個性を活かした大人っぽい世界観が素晴らしい作品でした。

やはり水が合うというのか、雪組生と轟さんは非常に相性が良く、間が難しいコメディーも全員見事な丁々発止で大爆笑の連続でした。

ショーでの轟さんの立ち位置は…?というと、「トップ・轟悠/準トップ・朝海ひかる」という感じ。

黒燕尾でも轟さんがセンターで踊り、パレードでも最後に大階段を降りたのは轟さん。

やはり雪組は古巣ということで、花組の時はファンの心情に配慮していたのだな、ということがうかがえました。

星組には舞の神として降臨!

星組への初の特出は、2005年『長崎しぐれ坂』/『ソウル・オブ・シバ‼』。こちらもお得意の和モノです。『長崎~』は2017年に博多座でも再演された人気作です。

『ソウルオブ~』には、舞の神という通し役で、トップスターの湖月わたるさんをはじめとする組子たちを躍らせる圧倒的な存在感でした。

この作品のパレードは全体的にイレギュラーな構成で、「これがシャンシャンなのかな?」というものを持っていたり、組子たちのお辞儀も下級生はお辞儀無しに踊っているだけだったり。

轟さんは大階段を最初に降りてきてエトワールのように歌いますが、「エトワール」という正式な名前はついていなかったように思います。

「エトワールらしきもの」が終わって一旦舞台から捌けて、湖月わたるさんのお辞儀が終わったあと、轟さんは大羽根を背負って大階段から再登場なので、やはり、「トップ・轟悠/準トップ・湖月わたる」という印象でした。

月組にはカエサル役で圧倒的な存在感

月組には、2006年『暁のローマ』/『レ・ビジュー・ブリアン』に出演。月組トップスターとなった瀬奈じゅんさんの2作目でした。

古代ローマで圧倒的な支持を集め、政治力も軍事力も天才的な手腕を見せたカリスマ、カエサル役としてピッタリの配役。

むしろ、轟さんの特出ありきで演目を決めたのかな、という印象を受けました。

『ビジュー~』のほうは星組の『ソウル~』と似たような感じで、宝石をテーマとしたショーの中で轟さんがいちばん高価な宝石として登場したように思います(笑)

このショーでもエトワールとして最初に登場し、瀬奈さんのあとに大羽根で再登場というかたちでした。

組回り最後は宙組で白洲次郎

5組目となる特出の最後は、大和悠河さん率いる宙組。作品は2008年『黎明の風』/『Passion』で白洲次郎を演じました。

大和さんとはもうかなり学年が離れているせいか、この宙組公演ではなんとなく「トップスター・轟悠/2番手・大和悠河」というくらいの違いを感じました(笑)

しかし、お芝居・ショー共に出演した公演はこれが最後となりましたので、ショーで神々しいまでの存在感を放つオーラ全開の轟さんが見られた貴重な公演となりました。

しかも、ショー終盤では女役に扮した大和さんと轟さんのデュエットダンスという超目玉の場面もあり、いろいろな意味で貴重な作品と言えますね。

5組を回り終えたあとの出演作品

2003年から毎年にわたって各組に出演し、2008年の宙組への出演で5組コンプリートとなった轟悠さんの特別出演。

その後のご活躍は主に別箱公演での主演となりますが、お芝居だけ、ショーだけ、というかたちを取って、以下の本公演に出演されました。

  • 2009年雪組『風の錦絵』(和モノショー)
  • 2014年星組『The Lost Glory』
  • 2018年雪組『凱旋門』

やはり古巣の雪組への特別出演が最も多く、合計3回の出演となりました。

特に最後の特出となった『凱旋門』はご自身がトップ時代に主演した作品の再演でしたので、当時の雪組を観ていたファンからすれば「轟さまのラヴィックがもう一度観られるなんて!!」と大感激だったと思います。

大階段も降りずに静かに退団されることを望んだ控えめな轟悠さんとしては「あくまで各組のトップさんを立てたい」というお気持ちもきっとあったと思います。

しかし、劇団のほうから「トップオブトップ」として各組のセンターに立ってほしいという要望があったのではないかと推測します。

今から思えば、雉羽根やナイアガラがついたトップ仕様の大羽根を二つも製作していたということなので、予算的にも大変豪華な公演だったなと思い返します。

今後、轟悠さんのような「トップオブトップ」という存在のスターさんが再び誕生するのか、最初で最後のレジェンドとなるのか、その行方がまた楽しみですね。