2020年2月から、公演の自粛をせざるを得ない状況になったことは、皆様ご存じの通りだと思います。
私も、急遽、タカラヅカ・スカイステージで生中継された雪組公演『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』
と、無観客でのライブ配信が行われた星組・新トップコンビお披露目公演『眩耀の谷 〜舞い降りた新生〜』・『Ray -星の光線-』
を視聴しました。
それぞれ、組のトップスターであった雪組(当時)望海風斗さん、星組礼真琴さんのあいさつを泣きながら観た記憶は、今も鮮明に蘇ってきます。
2020年7月には公演が再開されましたが、不安な状況はまだ続いていました。
ライブ配信の恩恵
そんな中、私たちヅカオタの『観劇したいっ!!』という思いは、通常公演の千秋楽を中心に、今までよりも多くライブ配信されることにより、少なからず満たされるようになってきたと感じます。
確かに、これまでもTCAスペシャルや海外公演、そして、トップスターさんの退団公演など、特別な公演の時に全国の映画館で、ライブビューイングが行われてきました。
しかし、これら映画館でのライブビューイングは、興行側からすれば、準備にもいろいろな手間がかかると思われますし、観る側も劇場に行くのと同様に、チケット申込みの手間があり『気軽に』というものではありません。
この状況で追い風になったのが、ネット環境さえあれば、場所も選ばず視聴可能なライブ配信だったと思います。
この気軽さと配信する公演が増えたことによって、観劇ライフの選択肢に『ライブ配信』が加わってきました。
私は、ライブ配信が選択肢に加わったおかげで、これまでより、確実に観る公演が増えました。
本来、劇場での観劇を考えた場合、私のような“ヅカオタ小市民”的には、自分の推しの公演に“限られた資源”を“できるだけ充てたい”のですから、推し以外の公演を『ちょっと観てみたい』と思っても、二の足を踏んでしまうわけです。
それに加え、すぐにチケットが手に入るのかも分からないですし、ましてや退団公演や路線スターさんの初主演、新人公演など入手困難になるチケットもあります。
こんなヅカオタが、悩んだり、苦労したりするのですから
『ちょっと観てみたい…』とか『気になる…』
と思っても、初めて宝塚の世界に足を踏み入れる人にとっては
『チケットを取る』
というアクション自体、非常にハードルが高いものだと思われます。
その救世主がライブ配信でしょう。
気になった演目を『ポチっ』とカートに入れるだけでよくなったわけですから。
お財布にも優しく、気軽に宝塚を観ることができるようになったのです。
ライブ配信も、この1年で“世界初の8Kウルトラズーム”や“VR”など、いろいろな試みがされ、その技術の凄さに感心させられっぱなしです。
劇場でオペラを上げる感覚で、自分だけのスターアングルが、下級生までできるようになって欲しいなぁ…などと夢が広がります。
そんな中、これも新しい試みのひとつなのでしょうか、新人公演がライブ配信されるというニュースが入ってきました。
新人公演は何のため?
新人公演がやっと再開されるというニュースに心躍った方も多いと思います。
私もそのひとりです。
“研7までの生徒さんと若い演出家先生の勉強の場、新しい才能の発掘の場”
そう!新人公演は、これから宝塚歌劇を担っていくであろう生徒さん・演出家の先生が経験を積むためにも、延いてはヅカオタにも、必要不可欠な場所なのです。
経験値を上げている途中なので、まだまだ未熟な生徒さん方の公演です。
あっ…中には
『これ…明日から、本公演って言って演ってもいいんじゃね?』
って思う、凄い実力のある生徒さんも過去にいましたけどね(汗)。
舞台人としては、お金を取る以上、研何年であろうと失敗してはいけないのでしょうけれど、誤解を恐れずに言うのであれば『失敗しても許される公演』なのだと思うのです。
新人公演ライブ配信に思うこと
そんな新人公演がライブ配信されるのです。
期待にテンションが爆上がりの反面、一抹の不安も覚えます。
※不安に関しては完全なる個人的意見ですのでご容赦ください。
新人公演のチケットは、プレミアム化しています。
本公演が期間中、約60公演前後ある中で、新人公演は1公演のみ。私もチケットが取れた試しはありません。
全編観るのは、公演から1年後くらいにタカラヅカ・スカイステージの放送でが常でした。
それがリアルタイムで観ることができるのですから、本当に嬉しい限りです。
しかし、気がかりもあります。
一つは“宝塚への評価”の不安です。
価格が本公演よりリーズナブルになるが故、『初めての方』が試しに新人公演だけを観て、宝塚全体を評価してしまう可能性があるのではないか?と考えてしまいます。
もう一つは“生徒さんへの精神的負担増大”です。
本来なら、劇場に来る約2,000人のお客様しか目にしない公演を、それ以上の人が目にするという状況になります。
場数を踏むためのものが、劇場以外の目があるが故、萎縮したり、小さな失敗を大きくとらえてしまう、躓きから立ち直れないなど、新しい芽を摘んでしまわないか?
と、『失敗しても許される公演』という考えが私の前提にあるので、勝手に杞憂してしまいます。
※これは“オタクの勝手な思い込み”“取り越し苦労”なのだと思いますので“そんな意見もあるのねぇ…”と、流していただければ幸いです。
ライブ配信もいいけど劇場もね!
改めて。
ポジティブ・ネガティブ両方書いてしまいまたが、新人公演も加えて、ライブ配信のコンテンツが多くなるということは、それだけたくさんの楽しみ方が増えるということです。
ヅカオタをはじめ、たくさんの人に、宝塚を身近に感じてもらえる新しい未来が、そこに広がっていると思います。
初心者の方にも気になった公演をいろいろ観ていただいて、時には優しく見守る気持ちで“新しい推しを見つけたり”楽しい宝塚ライフを始めてもらいたいです。
そして、ライブ配信で『宝塚って結構楽しいじゃない?』と思ったら、劇場に足を運ぶことをお勧めします。
やっぱり『舞台は生モノ』です。
迫力も空間も桁違い!全身に“宝塚”を浴び、一緒に沼に落ちましょう(笑)