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【ザ・ジェントル・ライアー】オスカー・ワイルドと宝塚の相性の良さ

宝塚歌劇を楽しもう

オミクロン株が想像以上の猛威を振るい、兵庫県でもおびただしい人数の感染者が毎日報告されています。

そのせいで各組の公演はもちろん、お稽古も止まり、月組以外の4組がすべて公演中止や初日延期という事態になってしまいました。

瀬央ゆりあ(せお ゆりあ)さんのバウホール/KAAT神奈川公演の【ザ・ジェントル・ライアー】もなんとバウは全日程中止。

しかし東京公演は予定通り行われると発表されていますので、雪組の『ODYSSEY』のようにお披露目の機会無くお蔵入り、という最も悲しい事態は避けられそうです。

日本国内の感染者数は現在がピークであり、2月中旬には沈静化するという予測が立てられていますので、宝塚もきっと全ての公演が再開されると信じ、ザ・ジェントル・ライアーの予習を一緒にしていきましょう!

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オスカー・ワイルドと宝塚

『ザ・ジェントル・ライアー』の原作は、オスカー・ワイルドの戯曲『理想の夫』です。

オスカー・ワイルドとは19世紀後半に活躍したアイルランド出身の劇作家。

詩人や作家にもいろいろなタイプがいますが、オスカー・ワイルドに関してはずいぶん波乱万丈で豪快な生き様です。

「我は芸術家である」と言わんばかりの派手なふるまいに、バイセクシャルであるゆえの派手な交友関係。それゆえに生涯の最後は男色を咎められて投獄されたのち、梅毒からの脳髄膜炎で46歳で亡くなります。

しかし、劇作家としての才能は確かで、その波乱な生き方も含めて世界中の文筆家たちに大きな影響を及ぼし、森鴎外、夏目漱石、芥川龍之介などの日本の文豪たちも例外ではありません。

悲劇も喜劇もどちらも得意とするオスカー・ワイルド。

宝塚でももちろんこれまでに何度かオスカー・ワイルド作品が上演されてきました。

ドリアン・グレイの肖像

記憶に残っている限りでは、宝塚におけるオスカー・ワイルド作品の最初は『ドリアン・グレイの肖像』だったかと思います。

星組時代の紫吹 淳(しぶき じゅん)さん主演のバウ作品です。

こちらは典型的な悲劇であり、年齢を重ねても美貌が衰えない美しい男性ドリアンが享楽的な暮らしに明け暮れる中、その代わりに彼の肖像画がどんどん醜く変化していく、という破滅的な物語。

耽美な男役が持ち味の紫吹さんにピッタリの作品でした。

Ernest in love(真面目が肝心)

『ドリアン・グレイの肖像』とうってかわって、こちらは悪人が誰も出てこない超ハッピーコメディー。

オフ・ブロードウェイ作品を輸入してきたということで、どの楽曲もとてもキャッチーで、一度聴いたら忘れられない名曲揃いです。

相手を自分に夢中にさせるためのいろいろな嘘が絡まり合った結果、結局全部が本当のことだったというカラクリ。

2組のカップルが真実の愛に目覚めていく様子を描いた、宝塚にピッタリな作品ということで、これまでに4度も公演されています。

幸福な王子

こちらは、宝塚OGたちが所属するプロダクション、「ライブネクスト」が昨年旗揚げされ、その記念すべき第一回公演としてお披露目された『アプローズ~夢十夜~』の劇中劇にて『幸福な王子』が使用されていました。

彩凪 翔(あやなぎ しょう)さんが急にツバメ役になって飛び回るという割とポエムっぽい世界観だったので、「この劇中劇は一体何だろう…?」と思った方も多かったかもしれません(笑)

ザ・ジェントル・ライアーの見どころ

このように宝塚も過去に何度かオスカー・ワイルド作品を上演してきましたが、今回採用されている『理想の夫』は初めての上演となります。

ドリアン・グレイの肖像もErnest in loveもそうですが、オスカー・ワイルドの素晴らしさは巧妙に仕掛けられたカラクリ。

『ザ・ジェントル・ライアー』もまさにその「名カラクリ」が見どころとなります。

むしろカラクリが巧妙すぎて、ある程度の予習をしていかないと1回のみの観劇では「え?どういうこと?」で終わってしまうかもしれません。

キーマンとなっているのは、音波みのり(おとは みのり)さん演じるローラ・チーヴリー夫人。

この女性がすべての諸悪の根源となり、周囲の人間たちを振り回していきます。

この重要な役どころを一体どの生徒さんが…?と思っていましたが、音波みのりさんなら絶対的な安心感です。

チーヴリー夫人によって仕組まれたトラップを、あの手この手でほどいてハッピーエンドに導いていくのが瀬央ゆりあさん演じるアーサーとなります。

瀬央さんの前回の主演作『龍の宮物語』は美しくも哀しいお話でしたが、今回は真逆の勧善懲悪のハッピーエンド。

瀬央さんの軽快な個性が作品にぴったりマッチしそうな予感がします。

とにかく、東京公演は1回も中止にならず、予定通りにすべての回が上演されることを願うばかりです。