宝塚歌劇団と言うとどうしてもトップスターさんやトップ娘役さんに意識がいきがちですよね。
ストーリー上でもメインにおられますしレビューでも基本的に真ん中で1番煌びやかなお衣装に身を包まれていますからその魅力を無視しろ、と言う方が難しいものです。
もちろんそういった装飾的な意味合いではなく、トップスターさんやトップ娘役さんというのはそのポジションに見合った絶大なるカリスマ性と高い魅力を持ち合わせておられますから必然とも言えます。
ですが全てのタカラジェンヌさん達がそのトップスターさんやトップ娘役さんというポジションを目指しておられるわけではありません。
ダンスが得意な方であれば少しでも前の方で踊りたいとかトップスターさんやトップ娘役さんといつか組んで踊りたいとかバックでソロで踊りたいとかいう思いを胸に秘めて日々努力を重ねられている方もおられるでしょう。
そして歌を得意とされている方であればぱっと思い浮かぶのはエトワールですよね。
その公演のメインソングをたった1人で時にはアカペラやスキャットのみで美声を披露される方もおられます。
が、歌うまジェンヌさんの活躍の場というのはそれだけではないんです。
それが影コーラス。
通称影コと呼ばれるもので一見目立たないポジションのように思えますが特に宝塚をよく普段から観劇されておられるベテランヅカオタの方々にとっては影コをきっかけに注目するようになったジェンヌさんがおられたりしますよね。
最近で言いますと宙組の朝木陽彩さんです。
104期生の朝木陽彩さん
104期生というまだまだ下級生の朝木さんですが抜群の歌唱力でご存知の方々も多いことかと思います。
先日無事千穐楽を迎えた『HiGH&LOW-THE PREQUEL-』『Capricciosa!!』では同じく歌うまなジェンヌさんとして知られている男役さんの若翔りつさんとご一緒に歌われている姿もお見かけしました。
そんな朝木さんが注目されるきっかけとなったのはやはり研2の頃にご出演された『オーシャンズ11』にて2幕冒頭の影コーラスではないでしょうか。
花組では仙名彩世さんが当時務められておられたこともありそれなりの経験·技術が必要とされる場面での影コを研2の朝木さんが大抜擢され、その上完璧にやってのけたということも相まって大きな話題を呼びました。
きっとこれから朝木さんの歌の場面が増えていき、ゆくゆくはエトワールを…!と思っていた矢先の退団発表…。
まだ研5ということもあり新人公演ヒロインのチャンスも充分にありましたし、これからの朝木さんのご活躍を楽しみにしていただけに残念でなりません。
退団公演は鷹翔千空さん初単独主演となる『夢現(ゆめうつつ)の先に』。
出来れば大劇場で大階段を降りて欲しかったな…という気持ちもありますが、最後の最後まで朝木さんが素晴らしいタカラジェンヌ人生を歩まれること、そしてこの最後の公演で朝木さんの美声を響かせる場面がより多くあることを心から願っています。