宝塚歌劇団月組「フリューゲル-君がくれた翼-」のポスターの謎が解ける!
一番最初に公開されたポスターでは月城かなとさんと海乃美月さんの表情が、お二人とも困った様子でした。
仕事のために行動を共にするだけで最初の印象はお互いに最悪!という初対面の場面を切り取ったのかもしれません。
この作品は齋藤吉正先生のオリジナル作品です。
齋藤吉正先生といえば星組『ジャガービート』です。
再現公演プログラムに漫画家池田邦彦氏の『国境のエミーリャ』という作品にインスパイアされたと書かれていました。
(架空の)東西に分けられた東京で西側への亡命を助ける主人公のお話だそうです。
プログラムには池田氏による東西ドイツの分断からベルリンの壁の崩壊までの解説もあるのでより作品の時代背景が詳しくわかると思います。
舞台装置もハートウォーミング
タイトルのフリューゲルにちなんで幕が翼の形をしていました。
翼といえば2023年花組正月公演『うたかたの恋』のハプスブルク家の家紋の双頭の鷲をイメージした羽の幕を思い出します。
伝統と格式の重みで人々を押し潰すような陰鬱な羽でした。
今公演でもよく似た羽の形ですが、こちらの翼は月組生を包み込むような優しい形をしています。
ベルリンの壁の崩壊シーンは名場面
物語のクライマックスとも言えるベルリンの壁の崩壊シーンはベートーヴェンの歓喜の歌です。
舞台上のベルリンの壁を隔てた東西ドイツの市民が歓喜の歌を歌い上げるシーンの演出は東西ドイツの統一を願う市民の心からの叫びで泣いてしまいました。
盆を回転させて東西の市民を登場させる演出手法が素晴らしかったです。
交互に現れる度に歌声が大きくなり盛り上がって行きます。
歓喜の歌は実際にベルリンの壁が崩壊した1989年のクリスマスにユダヤ系アメリカ人のレナード・バーンスタイ指揮の元東西ドイツ、ソ連やフランス、イギリスなどの各国のオーケストラメンバーで演奏されたそうです。
「歓喜」を「自由」にして歌い上げたのも有名なエピソードだそうです。
フリューゲルでも「自由」のバージョンなのかもしれませんが、残念ながらドイツ語の「歓喜」か「自由」かどちらかを聞き取れる語学力はないので、字幕がわかったら確認してみたいと思います。
キャスト別注目点
月城かなとさんと海乃美月さんの恋愛は薄め
東ドイツ側のヨナス・ハインリッヒと西側のナディア・シュナイダーは、東西分断によって引き裂かれる…とかではないので、明るい方に向かいそうな結末でよかったです。