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明日海りおの女たち〜男(役)を変えるのは女(役)?〜

宝塚歌劇を楽しもう

明日海りお。
2003年初舞台の89期生。現在宝塚歌劇団花組のトップスターです。

フェミニンな美しさからは想像もつかないほど、男役への思いは熱く強く、そのハートは男の中の男だと言っても過言ではありません。

スター性は若手時代から群を抜いており、実力も申し分なし。まさに宝塚スターの鑑とも言える、麗しのタカラジェンヌです。

そんな彼女は、今年の5月でトップスター歴丸5年。いつまでも色褪せることのないプリンス感からはにわかに信じ難いところもありますが、その貫禄と存在感は間違いなくトップ・オブ・トップの域に到達しています。

そして、世間が平成という一時代の終焉を迎えようとしている今、彼女自身も3人目の相手役・仙名彩世の退団を控え、また新たな明日海りおという華を咲かせようとしています。

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相手役で色を染められる力を持つ明日海りお

明日海りおというタカラジェンヌは、トップスターに就任してからに限っても、これまでに3人の相手役とコンビを組んできましたが、その姿を見て思うのは、
“彼女は相手役とともに新たな色に染まる力を持っている”ということ。

1人目:蘭乃はな

蘭乃はな相手役時代を思い出してみましょう。

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実際に2人がトップコンビとして携わった作品は2作でした。
ベルばらとエリザベート。

互いに月組出身で、それまでにもコンビを組んだ経験があったことと、
蘭乃はながトップ娘役円熟期に達していたことから、
明日海が蘭乃はなを下級生ながら頼りにしている印象がありました。

例えるならば、“しっかり者の弟”的な立ち位置にいるイメージ。
「蘭ちゃんにとって後悔のないように、思う通りにやったらいいよ」という明日海の優しさのメッセージだったのかもしれませんね。

自身の大劇場お披露目公演でもある『エリザベート』にて、頼れる最初の相手役・蘭乃はなを健気に見送ったら、明日海は新トップ娘役・花乃まりあの手を取って、走り出しました。

2人目:花乃まりあ

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今思えば、2人は“同士”だったように思います。
花組トップスターとトップ娘役として、体当たりで“2人の花組”を作っていたのかなと。

そして、ある意味ここが、明日海にとってもスタート地点だったような気もします。

『Ernest in Love』のアーネストとグウェンドレンや、『Me and My Girl』のビルとサリーなど、可愛らしく全力なヒーローとヒロインが印象的な2人でした。透明感のある、屈託のない笑顔で、元気ハツラツに!
本当に可愛らしいコンビでしたね。

しかし、2人で挑んだ最後の舞台『金色の砂漠』は、そんなハッピーでキュートなコンビのイメージをある意味壊して、2人で歩んだ軌跡を垣間見せたかのような作品となりました。

一筋縄ではいかない、深い深い愛。言葉では憎悪さえもぶつけ合うけれど、決して引き裂くことのできない、たしかで固い絆。
命の炎が消えゆくその時、2人で金色の砂漠を目指して支え合うように歩みを進める姿は、今でも鮮明に覚えているほど美しく、儚く、そして尊いものでした。

3人目:仙名彩世

そうして共に闘った花乃まりあの退団後は、花乃の2期先輩である仙名彩世とコンビを組むことになります。

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娘役としては遅咲きと言われる研究科9年目でのトップ娘役就任となりましたが、それまでに磨き上げた娘役芸と、歌・ダンス・芝居の3拍子揃った実力で、たくさんの舞台を彩ってきました。

絶対に期待を裏切らない、完成度の高い舞台をいつも見せてくれる彼女に対し、明日海自身も『トップになって数年経った自分の芸の幅を広げるきっかけになった大事な人』と語るほど、明日海りおというトップスターにとって必要な存在なのでしょう。

明日海りおと仙名彩世のコンビは、いつしか花組のお父さん・お母さんと呼ばれるようになりました。

蘭乃はな、花乃まりあとコンビを組んでいた頃の明日海とはまたガラッと異なる魅力で、今の花組の先導を切っています。

そんな3人目の相手役・仙名彩世ですが、いよいよ宝塚人生の最終章を迎えようとしています。

4人目:華優希

そして先日、明日海の4人目の相手役となる次期トップ娘役に、2014年初舞台の100期生・華優希の就任が発表されました。

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これまで明日海と組んできた3人のトップ娘役らとは全く異なる魅力をもつ娘役であることは間違いないと言えます。

一生懸命さが伝わる愛らしい舞台姿や思い切りの良いお芝居もさることながら、ショーなどでは意外にも大人な、憂いすら秘めた表情を見せることもある華優希。

彼女自身も今後様々な舞台や表現を見せてくれることでしょう。

さらに、このように組む相手によって全く違う色を見せられる明日海りお。

華優希とのトップコンビが始動すると、また素敵な化学反応を起こし、新たな色を見せてくれるに違いありません。

そうして、後輩娘役にチャンスをという仙名の思いを胸に抱きつつ、新トップコンビ誕生に胸を膨らませている筆者ではありますが、4月28日の『CASANOVA』東京宝塚劇場公演千秋楽までは、仙名彩世の、そして明日海・仙名コンビの集大成を存分に堪能し、心にしっかり焼き付けようと思います。

著者:有田だりあ