宝塚歌劇団を知らない方、宝塚歌劇団アンチのみなさん、宝塚歌劇団初心者…
そんな皆さんに向けて、今回は「宝塚になくてはならない、男役の存在意義について」お伝えしようと思います。
宝塚の何に抵抗・違和感を感じるか…
その一つに、「なんで、女性が男性を演じるの?」
という声、声、声…。
低い声を、無理に出そうとしてる感じが怖い…
男っぽく見せる仕草や振り付けに、違和感を感じる…
そもそも、男っぽく演じる必要が分からない…
そういう声を耳にしたことがあります。
分かりますよ。
「普通に生きてる男性、そんなことしないし~」って思う訳ですよね?
はい、いないですww
宝塚歌劇団は、「普通」に生きてる男性を目指して役作りしていないから、いませんw
まずは、宝塚歌劇団を端に置いておいて、こんなことを思い出してみましょうか。
舞台・映画・ドラマ・アニメ…
こうした表現モノに、みなさんは「普通」をあてはめて観てないハズです。
普通は。
●顔がスーパー可愛くて、胸が大きくて、頭も良くて、スタイル抜群で、性格が優しくて、長い髪が風にたなびくと石鹸の香りがふわっとする、お金持ちの娘。
●スーパーカッコイイ顔に、身長が180cm以上、頭も良くて、スポーツ抜群、ほとばしる汗がしたたる、程よい筋肉を持つ御曹司の息子。
会ったことねぇー!!
というのが筆者の雄たけびです。
会えるなら、是が非でも会いたいww
この「実際はいない人」のことを、頭の片隅に覚えておいてくださいね。
この「実際はいない人」が登場すると、表現モノはキュンキュンして楽しめる。
逆に、舞台・映画・ドラマ・アニメに、そこらへんにいるような「普通の人」ばかりが出演していたらどうでしょう?
デートの待ち合わせに現れたのは、カッパと見間違うようなハゲた男性役。
まな板が入ってたんだ、と思いたい胸の大きさの彼女役。
月のクレーターに到着したのかな?と思うような、ゴツゴツしてる肌質の彼氏役。
浜に打ち上げられたトドと見間違えるような、肥えた彼女役。
上記に挙げた「普通の人」の彼らが、表現モノに出ていたら、「あぁ、普通ってこれだよね」と納得するけど、「残念だな」と思うハズです。
つまり表現モノとは、理想をカタチにしたもので、理想は作りものなんです。
その理想が現実にないからこそ、表現作品に憧れ、演じている表現者に憧れを抱き、表現された音楽を聴いて浸り、表現されたセリフを心の中で繰り返す…
そうやって楽しむのが、「表現モノ」です。
きっとみなさん、そうやって「憧れ」を重ねて、舞台・映画・ドラマ・アニメをみて、楽しんでいるハズです。
異性を演じるという芸術
ではでは~、その「表現モノ」の一つ、宝塚歌劇団の男役に話を戻しましょう!
まずは、宝塚歌劇団に所属しているのは、全員女性のみ。
もう一つ、日本文化の一つである、歌舞伎は全員男性のみ。
歌舞伎を思い出してみると、女形は女性として見えてないです。
女形を見た観客が、「色っぽいな~、素敵だな~、こんな人とお付き合いしたいな~」と思っている方は皆無です!(いるかも分からないけど)
女性としてみている訳ではないのです。
一方、宝塚観劇で男役を見た観客が「カッコイイな~、抱かれたいわ~」
と思っている人も、皆無です!(いるかも分からないけど)
男性としてみている訳ではないのです。
ということは…です!
男性が、“女形”を演じる歌舞伎。
女性が、 “男役”を演じる宝塚歌劇団。
一体、この両文化は何を目指しているのか?
あえて、異性を演じることの意味は何なのか?
それはつまり…
「“異性”を演じるという“芸術”」という認識が必要になってくるのです。
歌舞伎は300年以上、宝塚は100年以上の歴史を越えて、観客は「異性によって演じられる役の魅力を楽しむ」という文化そのものなんです。
世界では
この「“異性”を演じるという“芸術”」は、海外文化の歴史にもあるんですよ。
それは、かの有名な劇作家ウイリアム・シェイクスピアの生きた時代、イギリス・エリザベス朝時代。
男性のみが舞台に立つ習慣だったため、シェイクスピアは、少年俳優に女性を演じさせる、という斬新な演出を試みました。
その巧みな演出と異性を演じるという高度なストーリーで、中世的な魅力や声変わり前の多感期の声が、作品に雰囲気や特殊な色気を投じ、絶大な人気を博しました。
少年が「本物の女性ではないこと」を理解したうえで、舞台上で醸し出される中世的な魅力が、観客を喜ばせたのです。
一方、宝塚歌劇団では、男役が積極的に男性の役割を担うため、声質を低く、シュッとした顔立ちや長身スタイルを求められます。
(その分、娘役を演じる女性は、可憐で可愛い姿を見せる必要があります。)
元が女性ですから、ムッキムキの筋肉男ができあがるハズもなくww
キレイ、ハンサム系、カッコイイ、マニッシュな男役ができあがります。
男らしい…には色々な定義がありますが。
仮に、男の真似をして、男らしい…プロレスに出てくるようなガッツリ系の男役が舞台に沢山出てきていたら、おそらく宝塚歌劇団の人気は出なかったでしょう。
まんま、男の真似をしている劇団ではないのです。
“男役”と“男性”は全くの別物。
そして、本物の男性では出せない、色気や雰囲気を、舞台で醸し出しているから、観たいと思うのが宝塚歌劇団なのです。
(歌舞伎も然りですね)
「“異性”を演じる“芸”」という視点で見れば、宝塚歌劇団の観劇の楽しさが違って見えてきます。
「●●役を演じていた△△さんの、あの仕草が素敵だった」
「〇〇さんのあのシーンの声がキュンときた。」
そんな風に、異性を演じる彼女たちの芸に、これからは注目して観てください☆
きっと、一人や二人、キュン♡シーンに出会えるのではないでしょうか?
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