宝塚歌劇団宙組全国ツアー
『追憶のバルセロナ』
『NICE GUY!!』
-その男、Sによる法則-
前回の記事ではトップ真風涼帆と2番手芹香斗亜について書かせていただきました。
前回記事に続き、宝塚歌劇団宙組全国ツアー『NICE GUY!!』観劇レポです。
今回は桜木みなと、和希そらについて語ります。
三番手羽根を背負った、桜木みなとの躍進が止まらない!
宙組公演をご覧になっている皆様には共感していただけると自信を持って言えます。
ここ一年間の桜木みなと(ずんちゃん)の雰囲気の変化はものすごいものがあると思います。
以前は爽やかで優等生然とした印象が強かったのですが、最近の桜木みなと(ずんちゃん)、色気がダダ漏れです!!
『オーシャンズ11』べネディクト役でも桜木みなと(ずんちゃん)は新境地に達したなと感じましたが、今回ますますパワーアップした姿を観ることができました。
スチールが公開されたあたりから「いったいなんなんだこの色気は……!」と身構えていましたが、ワルのお役を経たせいか、ニヒルな感じのクールな表情作りになんだかドキドキしが止まりませんでした。
元々素敵な歌声でしたが、その歌唱力も心なしか更に向上している気がします。
ソロ歌唱の場面ではその実力をいかんなく発揮していました。男役としての魅力がここ最近で段違いに増してきましたね。
少し遠い席だったのですが、
「なんだか目が行くなあ→ずんちゃんじゃん!」
「良い歌だなあ→えっ、ずんちゃんじゃん!」
と、ずんちゃんの磨かれぶりに驚きどおしだったひとときでした。
このショーでの存在感がとっても大きかったです!
印象的だったのは真風涼帆との絡みのシーン。
危険な魅力を放っていた他シーンとは異なり、真風(ナイス・セクシャルS)に惹かれるこのシーンではトートに魅了されるルドルフを演じていた時のようなはかなげな美しさがあり、引き出しの多さを感じました。
恍惚とした表情がたまらなかったです。
宙組のスターにしては背がなあ……とか、ちょっと存在感が薄いかななどと思っていた頃もあったのですが、いやいや、桜木みなとは今や紛れもなく宙組を背負って立つ力のある一大スターだ!と断言できます。
それだけに、フィナーレで綺麗な三番手羽根を背負っている姿を観た時には感極まってしまいました。
進化し続ける桜木みなと、これからの躍進にも期待が高まります!
和希そらの多面的な魅力
歌よし、ダンスよし、演技力よし。実力満点の和希そらは『NICE GUY!!』でも輝きを放っていました。
『オーシャンズ11』でライナスの役作りにかなり苦しんでいた様子を見ると、やっぱり学年も上がってきたし「大人の男」として魅せていきたいのかなあと思います。
その反面、和希そらの少年っぽさに萌えてしまうのもまた事実。
なんだかファンの業みたいなものを感じてしまう今日この頃でしたが、『NICE GUY!!』でこの問題は解決されました。そう、「どっちも見せる!」ということによって。
ナイスガイハイスクールの場面で、一際目立つリーダー生徒スカイ役だった和希そら。
元気はつらつで踊りまくるその姿はとっても爽やかでした。
アメリカの学園ドラマのリア充ティーンエイジャーのようで、なんだかんだこういうのが似合ってしまうのは和希そらの他に代わりのきかない魅力だよなあ……と思いました。
やっぱり高校生役の和希そら君は最高!!とそのフレッシュな魅力を再確認したところで、今度はエンジ色の大人っぽいジャケットをまとい、良~い声を堪能。
経験値の上がってきた和希そら君の男らしいところもバッチリ楽しむことができました。
このショー、ファンが観たい和希そら欲張りセットといった感じだったのではないでしょうか!
今の宙組の舞台は観ていてとても満足感があります。
それぞれスターとしてのキャラが確立していて、なおかつお互いにかぶらずバランスの取れている真風涼帆、芹香斗亜、桜木みなと。
少女っぽいイメージのあった初期と比べ大人の女性としての魅力が増し、真風涼帆との並びがしっくりくるようになった星風まどか。
頼れる上級生陣もバッチリ揃っています。
和希そら、留依蒔世らも学年が上がるにつれ元からの実力に更に磨きをかけていますし、下級生も歌ウマが多い!
全ツメンバーのみならず、バウ組も実力派揃いです。
今回の全ツ観劇で、現体制の宙組の安定ぶりを実感し、ますますこれからの観劇に期待が持てました。
次回大劇場公演は同じ藤井大介先生演出の『アクアヴィーテ!!』。
ウイスキーがテーマということで、系統としてはまた大人っぽい感じになるのでしょうか?
宙組生の魅力を再び余すところなく引き出してくれる名作であることを祈っています。
余談ですが、『NICE GUY!!』は裏の役名や場面設定が相当面白かったです。
頭文字が「S」に統一された章立て、
「ナイス・ブロード・マインデッドS」
「ドンキー・キンキー・ティーチャー」などぶっ飛んだ役名、そしてなんだか笑ってしまう場面解説。
パンフレットに込められた藤井大介先生のこだわりを感じてみては?
ライター:ミナミ