「宝塚歌劇団のコメディエンヌ」といえば、皆様はどなたを思い浮かべるでしょうか?
最近退団された紅ゆずるさんを想像する方が多いでしょうか。
もちろん紅ゆずるさんもとっても魅力的な方でしたが、私が「笑い」で特に印象に残っている方は、星条海斗(マギー)さんです!
2018年に退団されていますが、18年のキャリアで多くのファンに愛されてきました。
私が初めて星条海斗さんを知ったのは、2009年月組「エリザベート」のシュヴァルツェンベルク役でした。
低音の綺麗すぎる歌声にびっくりしたのを今でも覚えています。
ずっとクールな実力派というイメージだったのですが、とある作品でコメディー担当の役をされていたのを観て、いい意味でガラッと印象が変わってしまいました!おそらく宝塚の作品で一番笑ったと思います(笑)。
個人的な意見ですが、コメディーの役は、歌·ダンス·芝居の全てに熟達した方がやることで数倍面白くみえると思うんです。そんなマギーさんの、感動すら覚えるキャラクターが炸裂した作品をご紹介します。
「THE MERRY WIDOW」ミルコ·ツェータ男爵役
もうこの役を観てマギーさんのファンになってしまったという方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
主演の北翔さん·咲妃さんがかなりの実力派でしたが、影の主演なんじゃないかというくらい、マギーさんの別格級な存在感が際立っていた舞台だと思います。
客席からザワつく余韻がのこるほど笑いをかっさらっており、後々ネットでも「マギー劇場」と言われていました(笑)。
ちょくちょく北翔さんも舞台上で素の笑いを見せていた気がします。どこかあたたかい気持ちになるこの作品で、マギーさんの爆笑ポイントを一部ご紹介します。
若妻にデレデレ
最初の登場、結婚披露宴のシーン。妻のヴァランシエンヌ(琴音和葉さん)を招待客にお披露目しますが、琴音さんから「あなた」と呼ばれ、嬉しさのあまり発狂してしまいます。年を重ねてから初めてもらう若妻が相当可愛いのか、やりすぎなくらいの溺愛っぷり。
役作りの時に試行錯誤されたのか、声や喋り口調からしても何かしでかしてくれそうな気配がプンプンです(笑)。
登場からかなりの強烈な印象を与えています。
踊りすぎた北翔さんに労いのパフォーマンス
作品の見せ場でもあるカンカンのシーン。相当体力を使うであろうダンスを、何度も「もう一回!」とアンコールしてダンサーと踊りまくる北翔さん。
マギーさんは最後に出てきて、「若いからって無理しちゃダメ!脚なら私があげるから!ほら!ほら!」と、完璧なまでに綺麗な脚上げを披露…(笑)。
ちなみにミルコ・ツェータの容姿は、口ひげをはやしたおじさま。そんな人が高々と脚をあげる様は宝塚でしかできないボケなのではないでしょうか。
もはや脚が物凄く長いところも面白くみえてきます。
千秋楽では挨拶を務めておられましたが、主演の北翔さんへの愛が次々と語られ、本当に尊敬していらっしゃるのが伝わってきました。
「北翔さんはあらゆるスタッフにいつも気持ちよく挨拶をされている。これは当たり前のようで難しく、私の場合は今日はちょっと笑顔が足りなかったなとか、あんな風には中々できなくて…」というようなことを仰っていました。
上級生を心からリスペクトする、宝塚の美しさを観た気がしました。
あれほどふっきれた演技で笑い、歌やダンスの実力もピカイチなマギーさん。
愛情深さももっていらっしゃるんだなと、挨拶からひしひしと伝わってきました。
この時「いつかまた北翔号という船に船員として乗りたい」と仰っていましたが、この後北翔さんは星組のトップに就任され、オペレッタ作品の「こうもり」でマギーさんが客演し、再共演を果たしています。
とても感慨深いですね。元気とあたたかさと感動をもらえる、マギーさんの洗練された舞台姿、忘れません。
最近はスター候補で育てられてきた方が専科へ移動するケースが増えたように思いますが、また熟練された笑いの感動を与えてくれるジェンヌさんが現れるのでは…とひそかに楽しみにしています。
次の世代を担う宝塚のコメディエンヌは誰?
北翔海莉さんも星条海斗さん、そして、紅ゆずるさんと宝塚歌劇団には素晴らしいコメディエンヌがいたのですが、現在は3名とも退団してしまっています。
こういった素晴らしいコメディエンヌは、宝塚歌劇団に新しいファンを増やすためにも本当に必要な人たち。
私自身も初めて宝塚を見に行ってみたい!という方におすすめする作品として「笑い」のある明るい作品を紹介することが多いです。
その作品で上の作品の他にも
「THE MERRY WIDOW」「こうもり」そして、
紅ゆずるさんが主演された「Another World」「God of Stars」が多いですね。
そういう意味でも美しさや豪華さに加えた「笑い」のある作品がこれからもたくさん生まれることを期待しています。
これからそんな楽しいアドリブを生んでくれるジェンヌさんがいますように・・・。