宝塚歌劇団の昔の花組の組本で「美しく華やかに咲き、男役さんの隣に寄り添う時は、その方の“華”になる」と書かれていた娘役さんがおられました。
それは元花組副組長の花野じゅりあさん。舞台姿は妖艶で美しく、メイクの達人でもありました。
昨年は、その花野じゅりあさんや仙名彩世さん、桜咲彩花さん、芽吹幸奈さん、城妃美伶さんら花組を支えてきた娘役の退団が続きました。
ご卒業は寂しいですが、伝統ある花組で娘役の美学は上級生から下級生に脈々と引き継がれているのでしょう。
可憐に咲く今の花娘たちにもぜひ注目していきたいなと思います。
キラリと光る花娘たち
~美花梨乃さん~
大劇場本公演とは違い、別箱公演は人数も少ないので、普段目立たない生徒さんも大きな役が付いて活躍が見られるのが楽しみですよね。
2017年の『ハンナのお花屋さん』を観た時、美花梨乃さんが台湾出身の店員チェンリン役を演じていました。
主人公クリスが経営する「Hanna’s Florist」の店員の一人で、出番も多かったです。
髪型や動きが可愛くて台湾の女の子らしさが出ていたし、周りとの掛け合いも観ていて楽しくて、気になる娘役さんになりました。
こりのちゃん(美花梨乃)は2007年入団の93期生(→93期生一覧)ですが、現在は花組の娘役の中で上から2番目の上級生です。
でも華奢で小柄なので、研14とは思えない可愛らしさがあります。
昨年の『花より男子』ではヒロインつくしのお母さんを熱演。
コミカルな演技で牧野家の場面のお芝居を引っ張り、「つくしが玉の輿♪」の歌は最高でした。
しっかりお母さんに徹しているのに可愛さがあって、さすが花娘と思いました。
上級生らしいなと思ったのは、明日海りおさんの退団公演『A Fairy Tale』で演じたMysterious Old Lady(謎の老婆)役。
事前に配役を知らなければ、こりのちゃんとはわからない見事なメイクで老婆になりきっていて、手堅いお芝居にも感心したものです。
れいちゃん(柚香光)のプレお披露目公演『ダンス・オリンピア』のサロメとヨカナーンの場面も、深みのある声で語り部を務め、迫力がありました。
これからも色々な役を見てみたいなと思う娘役さんです。
~朝月希和さん~
花→雪→花と組替えし、現在は花組『はいからさんが通る』に吉次役で出演中の朝月希和さん。
希和ちゃんで思い出すのは、2017年に花組でキキちゃん(芹香斗亜)が主演した『MY HERO』という作品です。
音くり寿ちゃんとダブルヒロインを務めた希和ちゃんはクロエ・スペンサーという終始ハイテンションな女の子の役でしたが、面白い芝居をする人だなと印象に残りました。
それまでは新公ヒロインを経験している96期(→96期生一覧)の娘役さんということしか知らなくて。
雪組に組替えしてからはお芝居でもショーでも2番手の咲ちゃん(彩風咲奈)と組むことが多かったですね。
娘役らしい柔らかさがあり、相手役への寄り添い方も上手です。
2年ぶりに花組に戻って、あきらくん(瀬戸かずや)の東上公演のヒロインを務めることが決まった時はそれほど驚きはしなかったけれど、まさか雪組の次期トップ娘役になるとは想像もしていませんでした。
96期からはすでに3人もトップ娘役が出ているので。
希和ちゃんには学年を重ねた娘役の良さと芝居心があるので、再び雪組に組替えしても頑張ってほしいなと思っています。
~春妃うららさん~
達筆で絵も上手なうららちゃん。
歌劇で担当されたえと文も内容が濃くて次の号が楽しみでした。
同期に城妃美伶さんがいらっしゃいましたが、うららちゃんは研2の時『サン=テグジュペリ』の新人公演でヒロインをされているんですよね。
ちなみに、望海風斗さんのパーソナルブックや柚香光さんのファーストフォトブックにはうららちゃんも登場されています。
ふわっとした癒し系の雰囲気で可愛い娘役さんなのですが、昔の組本で同期(綺城ひか理さん)からのコメントには「正義感が強くて、しっかり者」と紹介されています。
外見とギャップがあって意外ですが、お芝居でも『A Fairy Tale』で演じた上品で優しいネリーのような役より、『はいからさんが通る』で演じている青江須磨子のような大人で勝ち気な役の方がお似合いだなと感じました。
今後、うららちゃんには大人っぽい役がまわってくる機会も多いと思うので楽しみです。
ショーではパッと目に付く可愛さと華やかさが素敵なので、活躍の幅が広がることを願っています!
最後に
以上、個人的に気になる花組の娘役さんをピックアップしてみました。
花組は次回の別箱公演の振り分けも発表になりましたね。
今後も花娘たちひとりひとりが舞台でそれぞれの花を咲かせて輝く姿を応援したいと思います。