宝塚歌劇団宙組2番手の芹香斗亜さんの三度目の東上が発表されました。
なんとブロードウェイ・ミュージカルの「プロミセス・プロミセス」です。
この作品はアカデミー賞五部門を獲得したコメディ映画「アパートの鍵貸します」をベースに、ニール・サイモンが脚色した大人気ミュージカルです。
ミュージカルとしてもロングラン公演を成功させ、トニー賞やグラミー賞を獲得しています。
近年めきめきと歌唱力をあげている芹香さんにぴったりの、心が温かくなる傑作コメディ・ミュージカルです。
今回は「プロミセス・プロミセス」に関する少々の不安と、期待を書きたいと思います。
ネガティブな推測は見たくないな、という方はお気を付けください。
最後までお付き合いいただければ幸いです。
版権が厳しいブロードウェイ・ミュージカル
「プロミセス・プロミセス」は、原田諒先生が翻訳、演出を担当されるそうです。
ブロードウェイ・ミュージカルで、原田先生。
そしてニール・サイモン。
宝塚ファンの皆様なら、なんとなく不安を感じるのではないのでしょうか。
頭の中に原田先生演出のブロードウェイ・ミュージカル「20世紀号に乗って」と、ニール・サイモンの「おかしな二人」が浮かんできます。
「おかしな二人」は石田先生演出でした。
どちらもDVD化も、スカイステージの放送もありませんでした。
雪組の「20世紀号に乗って」は東急シアターオーブでの公演でしたので、ライブビューイングがあるかと期待したのですが、それもなかったですね。
専科公演の「おかしな二人」は客席が526席しかないバウホールで公演期間も短く、超プラチナチケットでした。
版権が厳しいブロードウェイ・ミュージカルに、同じく版権がガチガチに固められていることの多い、ニール・サイモン作品です。
最近宝塚が力を入れているライブ配信も、不安になってきます。
けれどコロナ禍において、海外ではライブ配信やネット配信のハードルが下がっているのだとか。
ブロードウェイは昨年3月に閉鎖され、今年9月14日の再開に向けて準備が進んでいるところです。
約一年半、芸術の灯を守るため、様々な模索が続けられていました。
「プロミセス・プロミセス」も、アーカイブなしの配信ならOKとならないだろうかと、期待しています。
しかしオーブのみだった「20世紀号に乗って」と、バウのみだった「おかしな二人」と違い、「プロミセス・プロミセス」はシアター・ドラマシティとBrillia HALLの二か所で公演があります。
従来の作品同様にDVD化やスカイステージでの放送がある可能性もありますし、そう願っています。
但し、絶対に観逃したくないという方は、チケット獲得に向けて必死になったほうがいいかもしれませんね。
ストーリー
ストーリーは、さえない地味なサラリーマンのチャックが、出世のために自らのアパートの部屋を上司に貸し出すことから始まります。
上司がその部屋で不倫をする相手は、なんとチャックが思いを寄せているフランでした。
前向きで一生懸命なチャックが上司に翻弄されつつ、不倫に傷ついているフランを変えていきます。
チャックはほぼ出ずっぱりの役ですので、芹香さんファンは絶対に見逃せませんね。
不倫が題材の一つだけありまして、ちょっときわどいセリフも存在します。
すみれコード的にどうなるのか、気になりますね。
ブロードウェイ随一とも言われた喜劇作家ニール・サイモンにより、セリフの中に巧妙に仕組まれた言葉の数々に、途中で「にやり」とさせられること請け合いです。
「プロミセス・プロミセス」でも、登場人物たちがそれぞれ勝手にドタバタしているように見えて、クライマックスですべてがまとまっていく爽快感があります。
最後まで見終わったとき「タイトルは、そういう意味だったのか!」と膝を叩くはずです。
この点でも、素敵なお声でセリフを確実に観客に届ける力と、様々な役を経て蓄えられた演技力抜群の芹香さんに、ピッタリだと思います。
ちなみに「Promises, promises」は、「どうせ口だけなんだから」というような意味です。
「promise」は約束という意味ですが、「Promises, promises」は相手の約束に対して「信じない」と言いたいときに使います。
そこを踏まえて観ていただけると、より楽しめるのではないかと思います。
「プロミセス・プロミセス」は難曲の多いミュージカルです。
以前に上演された『「PROMISES・PROMISES」in Concert』では、歌が上手いことで知られる中川晃教さん、彩乃かなみさんも口をそろえて「バカラックの曲は難しい」と仰っていました。
元々声のいい芹香斗亜さんですが、このところ驚くほど歌唱力を上げてきています。
難しいけれど耳に残る名曲の数々に、シンガーとしての魅力を堪能できるはずです。
現在芹香さんは、二番手期間も充分すぎるほど長く、男役として脂の乗り切った状態と言ってもいいのではないでしょうか。
そんな今の芹香さんが満を持して臨むのが、傑作ブロードウェイ・ミュージカル!!
さらにロマンティック・コメディー改め、ポップでファッショナブルな、オシャレな大人の都会派コメディと来れば、期待しかありません。
昨年東宝で上演された、大地真央さん、花總まりさんらが出演した女性版「おかしな二人」も、ポップでカラフルな衣装が話題になりましたね。
こちらも原田先生演出でした。
ポスターを見るだけでも、楽しい気分になったのを思い出します。
「プロミセス・プロミセス」では、ヒロインの衣装が見どころの一つです。
まだキャストは発表されていませんが、どなたになるのか楽しみですね。もし天彩峰里さんなら、お衣装も相まってキュートな魅力が爆発しそうです。
今の芹香さんにぴったりの、傑作ブロードウェイ・ミュージカルの幕が開く日が、楽しみです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。