宝塚歌劇団は今年105周年。初の公演はなんと1914年(大正3年)です。
なぜ、こんなに一つの劇団が長く続いているのか、とても不思議に思って書籍を読みました。
事の始まりは、阪急電鉄が宝塚線(梅田→宝塚)の利用数を増やすため宝塚駅の温泉施設への集客が目的で作られた宝塚少女歌劇団から始まるわけです。
ですから、当初の宝塚歌劇は温泉利用者が無料で見られる「余興」でした。
一公演ごとの収益よりも、阪急電鉄の利用者を増やす目的の一つとして温泉利用者を増やす。
そして余興である公演をいかに年間通して回数多く実施することが重視されていました。
ですから可能な限り多くの公演数をこなすために、劇場周辺に、劇団の衣装や舞台装置の制作所、事務所、養成施設(現・宝塚音楽学校)、など舞台に関わるすべての施設・もの・人を一箇所に集約させることになったわけです。
これは、すべて、年間公演回数を増やすためのものだったが、
結果的に、これが経費の削減と公演に関わるすべてのものを外注せずに自分達の手で全てを創ることになり、結果的に宝塚歌劇独自の世界観を作り出すことができたのだという。
105年続いている理由はこれだけではないが、設立当時から阪急電鉄という強力で恵まれたリソースが基盤にある劇団なのです。
さて、そんな105年続いている劇団だからこそ、ファンも幅広く、層も厚く、下は10代の若者から、上は80代、90代の年代まで公演を見に来るのです。
そんな年齢層の幅広いファン、すべてのお客様に喜んでもらう・・・・というのは、とても難しいことでしょう。
さて、私自身はファン歴はまだまだ浅い。
4年程前に初めて宝塚歌劇を見たときの感想はというと
「なんか古い昭和な感じがする」・・・・なのでした。
その後、礼真琴を見て「いい!!すごい!!!!!」とも感じていたことを記憶しています。
そしてその後、ずっと宝塚を見続けてくると、「古い昭和な感じ」はなぜか感じなくなったのです。
慣れたのでしょうか?よくわかりません。
そして、相変わらず、礼真琴をすごいとは思う。
しかし「ちょっと違う感じ」で見ている私になっていました。
私の中に「宝塚歌劇の独特の世界観」がほんの少しでもわかってきたのかもしれませんね。
幅広いファン層がすでに存在する宝塚の世界で、「新しい」ものを求める人と、「宝塚らしさ」をものを求める人が存在します。
また、ファン歴の浅い人と深い人も存在します。
「新しいもの」に偏りすぎるのもダメで、「宝塚らしさ」に偏りすぎるのもダメ。
すべてのお客様の満足度を高めるということはとても難しく、
いかに絶妙なバランスを保ち続けるかということなのですね。
「宝塚独特の世界観」は、これです!とは言葉で言えるものではなく、長く宝塚の公演も見てきたファンの人たちが、心の中にあり、心で感じて出来上がってきているもの。
そのそれぞれが持っている宝塚の世界観が崩れると「ちょっと違和感」を感じるものだと思うのです。
ちょっとメモですが、私の独断で
特に「新らしさ」を感じるジェンヌさんと「宝塚らしさ」を感じるジェンヌさんをピックアップしてみます。(私が知っている範囲なので、まだたくさんいると思いますが)
「新らしさ」を感じるジェンヌさん(順不同)
紅ゆずる・礼真琴・柚香光・朝美絢・和希そら
「宝塚らしさ」を感じるジェンヌさん(順不同)
明日海りお・月城かなと・風間柚乃・瀬央ゆりあ・縣千
お正月の宝塚歌劇団理事長の小川友次氏が述べていました
「今年は温故知新。過去をきちんと振り返り、そした新たなものを作り出すという大事な年にしたいと思います。」
とは、述べていたが、きっとその温故知新をずっと前から意識し続けているのだと思います。
ファンを飽きさせず、常に新しいものを作り続け、独特の世界観を維持し続けている。
そんな温故知新を105年続けてきている宝塚歌劇。すごい!!!!!