スポンサーリンク

月組「エリザベート」の見どころと歴代トートの紹介

宝塚歌劇を楽しもう

初演から22年、今回で10回目の上演となる月組の「エリザベート」。

役それぞれの個性が絡み合う、芝居の月組らしい作品になっています。

史上最下級生で演じる珠城りょうのトートは、黄泉の帝王の強さと孤独、人間的な弱さも感じさせる、これまでとは違った魅力のトート像をつくりあげています。

スポンサーリンク

エリザベートのストーリー

ロマンチストな少女シシィが強く生きたいと願いながら、伝統と格式に押し込められ、自由を求めて闘い葛藤する心から生まれた死神トート。

トートとの出会いの場面で、シシィは「わたしを帰して」と叫びます。

死神に出会い、生きる情熱そのままに帰せと要求するのはシシィくらいでしょう。

その“生”の輝きにトートは衝撃を受け、「愛されたい」という禁断の感情が芽生えてしまった。

しかしシシィは皇帝フランツ・ヨーゼフに嫁いでしまいます。

シシィの自由に憧れ、皇帝としての責務を負いながら、一人の男性としてシシィを深く愛していたフランツ。

二人の愛のライバルは、まったく違った愛しかたでエリザベートを奪い合うことになります。

自分らしく生きようと闘いつづける中で、エリザベートは二人の間を、また“生”と“死”の間を揺れ動きます。

月組「エリザベート」の見どころ

この作品が退団公演となるエリザベート役の愛希れいかは、円熟した演技力で少女時代から晩年までを、しなやかにスケール大きく演じています。

皇帝フランツ・ヨーゼフの美弥るりかは、シシィを想う深い愛が伝わる役づくりで、皇帝としての威厳も漂わせながら、”一人の人間”としての心の動きを繊細に表現しています。

月城かなとのルイジ・ルキーニは、物語のキーとなる狂気のテロリストと作品のストーリーテラーとしての役割をエネルギッシュに演じ、物語を運んで行きます。

皇太子ルドルフは、成長著しい暁千星と風間柚乃の役替り公演となっているところも見どころです。

また、短い出番でありながら客席に大きな感動を残す、ヴィンディッシュ嬢を演じる海乃美月にも注目です。

エリザベートのフィナーレの定番である男役の素晴らしい群舞や、トートとエリザベートの、またトップコンビとしても「最後のダンス」となるデュエットダンスなど、ラストまで見ごたえたっぷりの月組公演「エリザベート」をぜひお見逃しなく!

現在美弥るりかさんが体調不良のため休演。
代役は
フランツ・ヨーゼフ・・・月城 かなと
ルイジ・ルキーニ・・・風間 柚乃
ルドルフ・・・暁 千星
エルマー・・・蓮 つかさ
シュテファン・・・彩音 星凪

スポンサーリンク

歴代トートの紹介

初演 1996年雪組 一路 真輝 (サヨナラ公演)

歌唱力を活かした一路真輝のトートは、制作発表でこそファンから「サヨナラ公演が死神役なんて」という声が上がりましたが、開演するとたちまちファンを魅了しました。

ウィーンで生まれたミュージカル「エリザベート」の主役はエリザベートでしたが、主役をトートに変えた宝塚版を誕生させました。

この公演のパレードでは、サヨナラ公演を意識したトートの真っ白な衣装も印象的でした。

2代目 1997年星組 麻路 さき

麻路さきのトートは、細やかな表情の変化や計算された所作など、麻路さきらしい品と包容力が溢れるトートでした。

歌唱力抜群の初代一路トートにプレッシャーを感じていたと言いますが、ビジュアルへのこだわりと誠実な役づくりで、強く怪しいだけではない“黄泉の帝王”の風格を醸し出し、麻路さきならではのトートをつくりあげました。

3代目 1998年宙組 姿月 あさと

圧倒的な声量と歌唱力にビジュアルを兼ね備えた、ダイナミックで迫力あるトートを見せました。

新調されたトートとエリザベートの衣装は、当時の宮廷の豪華さを感じさせる舞台になりました。

大胆さと繊細さ、民衆をあおりルドルフを死に引き込む冷酷な部分と、エリザベートの愛を求める一途さの二面性を見せてくれました。

4代目 2002年花組 春野 寿美礼

この公演から「私が踊る時」が新しくナンバーに加えられ、トートの届かない愛のもどかしさと、誇り高いエリザベートの感情の駆け引きが伝わる名場面が生まれました。

春野の良く通る声質、伸びやかさが活きたこの曲は大きな話題になりました。

春野トートの帝王ぜんとした陶酔感も独特の魅力となり、多くのファンを魅了しました。

5代目 2005年月組 彩輝 直 (サヨナラ公演)

サヨナラ公演となった彩輝直のトートは、これまでにない中性的で儚げなビジュアルで、彩輝の個性が光る役づくりでした。

傷つきやすい少年のような繊細さと、心の闇に潜む残酷さを併せ持つ独特の雰囲気で、男役スター・瀬奈じゅんが演じる凛としたエリザベートとの対比も印象的でした。

6代目 2007年雪組 水 夏希

水夏希の宝塚大劇場トップお披露目公演となった「エリザベート」。

手に施された刺青やグリーンがかった髪、スタイリッシュでシンプルな衣装で、これまでにない艶
めかしく色っぽいトートを演じました。

押さえた情念の演技や滑らかな体の動きで、死神の怪しい静けさや“黄泉の世界”観を魅惑的に表現しました。

7代目 2009年月組 瀬奈じゅん

人気演目で再演率の高い「エリザベート」ですが、ルキーニ・エリザベート・トートの主要3役を演じたのは瀬奈じゅんただ一人です。

主役トートでは、多角的に「エリザベート」を知っている瀬奈じゅんならではのスケールが爆発した、エネルギッシュな雰囲気のトートとなりました。

凝った編み込みのヘアスタイル、手で口元を隠した独特のスタイルのポスターも、瀬奈じゅんの“俺さま感”を感じさせました。

8代目 2014年花組 明日海 りお

正当派男役と言われる明日海りおのトートは、歌唱力・演技力・ビジュアルの三拍子が揃ったトートと評されました。

人間的な感情を募らせながらも、エリザベートへの湧き上がる情熱を押さえ、あくまでもクールに振る舞うトート。

反面、民衆を操り、ハプスブルグの滅亡をもくろむ“死神”としての顔。

トートの様々な表情を演じ分け、ファンの想像を超える新境地を開拓して見せました。

9代目 2016年宙組 朝夏 まなと

初の黒髪のストレートヘアー、黒レザー風の装飾を押さえたスタイリッシュな姿。

現代感覚の新しいトート像として、再演が続く「エリザベート」に新風を吹き込みました。

大きな瞳と笑顔で、常にポジティブで「太陽のような人」と言われる朝夏まなとが、はじめて演じた笑顔のない異界の役柄。

長い手足とバレエで鍛えた切れのいいダンスが、新世代のトートを感じさせました。