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大劇場一本モノを初演出・稲葉大地について−「アナスタシア」−

宝塚歌劇を楽しもう

2020年11月7日より宝塚大劇場での公演が開始される宝塚歌劇団宙組「アナスタシア」。

既に東宝ミュージカルでは上演された作品ではありますが、宝塚歌劇団では初めて扱われる作品ということで注目を浴びていることかと思います。

宙組としては2019年に上演された「オーシャンズ11」以来の一本物となります。

今回注目したいのは作品自体ではなく、「アナスタシア」の潤色・演出を手掛けられる稲葉大地先生についてです。

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演出家・稲葉大地

実は稲葉先生、大劇場での一本物を手掛けられるのはこれが初めてになります。

稲葉先生と言えば「GOLDEN JAZZ」や「Greatest HITS!」等軽快且つ楽しいレビューをこれまで多くつくられたお方ではありますが、意外にも大劇場でミュージカルを担当されたことがありませんでした。

宙組だけでなく星組の次回作として発表された「ロミオとジュリエット」でも潤色・脚本を担当される予定ではあります。

しかしロミジュリはこれまで複数回小池修一郎先生が担当されてきた作品にもなりますので、ヅカオタとしては完全に全て初回から手掛けられる「アナスタシア」に、より注目が集まるかと思います。

これまで宝塚歌劇団で一本物と言えば世界にも誇る小池先生ですが、そんな小池先生も御年65歳になられる大御所です。

宝塚歌劇団は所属しているタカラジェンヌだけでなく、多くの劇団付きの演出家も抱えていることが特徴の1つです。

タカラジェンヌの若手育成も大切なことではありますが、それと同等に若手の演出家の先生方の育成も重要となってきます。

稲葉先生のご年齢は公表されておられませんのでわかりませんが、2000年に宝塚歌劇団に入団されていますので他に所属されている先生方の中では割と若手の部類に入るかと思います。

稲葉先生の1つ前に入られた小柳奈穂子先生(1998年入団・44歳)は既に花組公演「はいからさんが通る」にて大劇場一本物を経験されていますから、一本物デビューの順番としては妥当なものかと思います。

元々小柳先生はミュージカル作品を大劇場では 7作品経験されておられ、過去のインタビューにて「ドラえもんだって(宝塚で)やれる」という頼もしいお言葉を残されておられますから近年よくあるような2.5次元舞台のようなポップにキュンとできるような作風にはかなりの信頼が寄せられていたかと思います。

小柳先生演出の月組公演「アリスの恋人」では当時娘役に転向したばかりの元月組トップ娘役であった愛希れいかさんにプリキュアを参考にするようにと言われていたというくらいですから、宝塚歌劇団の武器の1つであるビジュアル面の魅力を最大限引き出すことに長けていることからも「はいからさんが通る」では初演のシアター・ドラマシティ公演や日本青年館公演同様に好評を博しておられます。

そんな流れからくる稲葉先生の大劇場一本物。

個人的な印象ではありますが、稲葉先生のレビューと言えば華やかさやポップさの中にも宝塚歌劇団らしい夢夢しさを忘れない作品が多くあるように感じています。

星組公演「Celebrity -セレブリティ-」ではトップ娘役である夢咲ねねさんがぴったりとしたタイトなパンツお衣装を着たり、ダンスを得意とされる柚木礼音さんにぴったりなダンスナンバーの多いレビューで1度観たら曲が頭から離れない中毒性のあるレビューでした。

花組公演「宝塚幻想曲(タカラヅカ ファンタジア)」は台湾公演でも上演された作品です。

日本らしさもありつつも、ノリノリな曲も多く台湾の方々にも知られている曲を採用したり明日海りおさんが艶やかな女役で登場したりと現地の方にとってもヅカオタにとっても嬉しい演出満載だったことかと思います。

月組公演「GOLDEN JAZZ」ではなんと言ってもタンバリンの導入です。

通常舞台作品で客席でペンライトやうちわを使用許可しているものはあれども鳴り物を許可している作品はかなり少ないかと思います。

特に宝塚歌劇団のようなDVD/Blu-ray収録やCD録音をして販売するような手法を採用しているところになると、特に客席で音の鳴るようなものの持ち込みは基本的にはNGになります。

そんな中で上演された作品でしたが、驚くほど、統制されたタンバリンの音と使用するタイミング以外では音が鳴らないように気を配る客席の皆さんに客席にいる自分自身もかなり驚きました。

タンバリンがすぐに完売してしまい、仮の商品が販売されたりと当時はかなり話題になりましたよね。

雪組公演「Greatest HITS!」では宝塚だけでなく、世間一般でも知られている曲が多用されておりまるで舞台を観ているというよりも一緒に音楽を楽しんでいるかのような錯覚を覚える程ノリノリなレビューでした。

このレビューではこれまで以上にセットやお衣装の新調も多かったことから、レビュー好きの方にとっても稲葉先生が飛躍した作品であるというような印象が強かったことかと思います。

クリスマス付近に公演があったということもあり、当時雪組におられた月城かなとさんと鳳翔大さんがトナカイに、トップスターであった早霧せいなさんがサンタクロースに扮した姿を披露されていたことでも知られているかと思います。

この他にも稲葉先生の素敵なレビューの話をすると尽きませんが、そんな稲葉先生だからこそ初めての大劇場での一本物、更にはミュージカル作品ということですが不安よりも期待が多く寄せられます。

初日にはまだまだ時間がありますが、今から楽しみでなりませんね!