2022年9月4日、花組東京宝塚劇場公演をもって宝塚を卒業する、花組・音くり寿さんのサヨナラ番組がスカイステージで放送されました。
音くり寿さんのサヨナラ番組!
初回放送は8月5日18:30〜19:00です。
再放送が9日11:00〜17日13:30〜21日19:00〜26日8:00〜29日23:00〜9月4日13:00〜とあります。
放送内容は、これまでの主な出演作品の振り返り、卒業にあたってのインタビュー、ファンへのメッセージでした。
番組の中で印象的なシーンをご紹介したいと思います。
ベージュに黒のラインが入ったノースリーブワンピースでとてもすっきりした印象です。
公式ホームページでの退団発表は4月19日でした。
2022年3月〜4月梅田芸術劇場公演『TOP HAT』のころには退団を決められて、劇団にも伝えられていたようです。
表現に制限をかけない音くり寿さんの演技力
音くり寿さんが出演作品を振り返りコメントされている中で、ヒロインを務められた2018年『蘭陵王―美しすぎる武将―』の落妃役、2019年『花より男子』で三条桜子役について表現に制限をかけずに演じる事にチャレンジしたいと仰っていました。
まさに、この表現に制限をかけないということこそ音くり寿さんの最大の魅力だと思いました。
退団公演である『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』のラプリュナレド伯爵夫人役では、パリの社交界で実力のある金持ちで傲慢でプライドの高い女性を演じ切られてお芝居に迫力と厚みを与えておられました。
観劇初心者にとってはジェンヌさんのお名前は一度に覚えられないので、トップさんから順に覚えていくのですが、音くり寿さんはどんな作品でも必ず印象深く記憶に残る本当に実力のあるジェンヌさんです。
インタビューでは、宝塚人生を振り返って、花組について、娘役について、「宝塚」とはという質問にお答えになっていました。
特に「宝塚」とはという質問には「人」とお答えになっていました。
夢の世界を作り上げる為に人と人との連携プレーで成り立っている事、同じメンバーだからこその信頼関係や積み重なっていくものがあり、さらにその中でも出会いと別れがある。と仰っていました。
確かに宝塚歌劇は『ベルサイユのばら』をはじめとする再演作品や、現在の演目月組『グレート・ギャッツビー』のフィッツジェラルドの作品など関連作が多くあり、時代を超えて宝塚歌劇の中で引き継がれるからこそ洗練され、完成度も年々高くなるのだと音くり寿さんの言葉にとても納得しました。
また娘役について語られている部分では、宝塚の娘役である以上、品が絶対欠如してはならない。
男役さんの隣でも一人でも咲ける花である事と仰っていました。
宝塚大劇場の治安の良さ、居心地の良さは劇場の方やジェンヌさん方の演技に品があるからこそ保たれるのではないかと音くり寿さんの言葉でまた一つ謎が解けた気がしました。
私の中で一番好きな北小路環役
2020年7 – 11月『はいからさんが通る』-では華優希さん演じる花村紅緒の親友北小路環を演じられています。
ご本人はコロナ下の状況でより深く作品について考えたと仰っています。
私は音くり寿さんの演じられる北小路環が本当に大好きでした。
大正というまだまだ女性が独立して生きづらい世の中で職業を持ち自分の意見をしっかりと持ち、生き抜いていくメッセージが、北小路環なのか音くり寿さんなのかわからない程伝わってきました。
またエトワールとして華やかに舞台を締めくくられていました。
力強くしなやかな歌声で、同じ女性へのエールだ!と励まされた気分になりました。
これからの音くり寿さんに限りないエールを送りたい
タカラヅカニュースでも比較的下級生のジェンヌさんが登場されるので、今回より深く音くり寿さんについて知る事ができました。
舞台に対する真摯な姿勢や宝塚歌劇へのしっかりとしたお考えがあってのあの素晴らしいパフォーマンスとわかりました。
宝塚歌劇という世界で本当に美しい花として、お芝居の迫力で圧倒された舞台人として、音くり寿さんは魅力を発揮されてこられたと思います。
演技によってこんなに心打たれる経験をさせていただき本当にありがとうございます。
一日も早く幕が開いて、無事東京宝塚劇場での千秋楽を迎えられることを願っています。
そして何より、宝塚歌劇を飛び出された時の音くり寿さんも是非拝見したいと期待しています。
ライター・さんなん