10月9日から、宝塚歌劇団星組公演『ME AND MY GIRL』が博多座で初日を迎えます。
この公演は通常より特殊な形態をとっており、主演が2人。
専科の水美舞斗(みなみ まいと)さんと、星組の暁 千星(あかつき ちせい)さんです。
主演のビルと、2番手が演じることの多いジョン・トレメイン卿を2人が役替わりで演じるため、「W主演」というような公演になります。
水美さんは専科生、暁さんは現在星組で実質的な2番手ではありますが、まだ2番手の証である羽根は背負っていません。
この2人で主演を務める今回の博多座公演、2人の出世に一体どういう意味を持っているのでしょうか?
過去に行われた、トップスター以外が主演した全国ツアー公演・博多座公演を振り返って検証してみましょう。
少しずつ増えてきた2番手主演全国ツアー
2番手が主演で全国ツアーをまわったのは…私の記憶の中で最も古いのは、1989年の花組全国ツアー『春ふたたび/ザ・レビュースコープ’89』です。
主演は、当時2番手スターだった朝香じゅん(あさか じゅん)さん。
基本的には、全国ツアーというのは、新規ファンの獲得を目的とした興行でしょうから、トップスターが「組の顔」として各地を訪ねるのがスタンダードです。
そこをあえて「2番手」にするというのは、どんな目的があるのでしょうか?
近年にあった、「トップスター以外の主演で公演した全国ツアー公演・博多座公演」をまずリストアップしてみます。
主演後にトップ就任したのは2021年までで約9割
2020年、2021年に全国ツアーではなかったのは、たぶんコロナ真っ只中ということで、急遽劇場を変更したのではないかと予想します。
そして2番手で主演を務めたあとにトップスターに就任しなかったのは、元花組の朝香じゅんさんのみのようです。
当時は朝香さんの下に大勢のスターがひしめき合っていたため、2番手スターが退団という大事件になりました。
そう思えば、朝香さんの全国ツアー主演は餞別の意味だったのかもしれません。
凪七さん以下3名は現役で在団中であり、トップ就任前ということで除くと、11名中10名が主演後にトップスターに就任していることになります。
確率で言えば約9割です。
つまり、全国ツアーや博多座で主演をすると、かなりの高確率でそのあとにトップスターとなるわけです。
そうなると、劇団側も「プレプレお披露目」「トップスターの練習」のような意味合いで主演公演を2番手スターに与えているのだろうと思われます。
全国ツアー・博多座での主演は「=次期内定」ではない場合も?
ただ、2番手スターが全国ツアーや博多座で主演をすればすぐそのあとにトップの座が待っているのかというと、紅ゆずるさんの例が少しイレギュラーです。
結果的にはトップに就任されましたが、「全国ツアーで主演!つまり、次期トップ確定!」ではありませんでした。