宝塚歌劇団の雪組トップ娘役、真彩希帆(まあやきほ)。
彼女の特集番組『スターロングインタビュー 真彩希帆』の放送を見て、私は驚いた。
真彩希帆は歌を愛し歌に愛される人
彼女はただ、元気で天真爛漫な人ではない。
むしろ、弱く繊細で、時に悩み、そして殻に閉じこもってしまうような人だった。
舞台の上でにっこり笑う彼女の姿からは想像できないような一面を知ることのできる番組だった。
そしてますます彼女のファンになった。
望海風斗と真彩希帆は最強のコンビ
真彩希帆の舞台を初めて観たのはトップコンビ宝塚大劇場お披露目公演『ひかりふる路/SUPER VOYAGER!』だった。
トップになったばかりとは思えぬ堂々とした姿。
あの望海風斗の横にいながら、彼女の存在は決して薄れることなく、むしろ「望海風斗の相手役は真彩希帆にしかつとまらない」と思わせるほど、2人が奏でる歌のハーモニーはもはや完璧。
大劇場ではもう収まらないと思うほど圧巻の歌唱力。
ぜひ、下の動画の1分30秒あたりをみて欲しいです。もう鳥肌です・・・・・・・・・。
今の宝塚すごくないですか…
— ベストアゴニスト (@nfnozomi1019) June 30, 2018
トップ2人がこんなに歌えるってすごくないですか…
望海風斗と真彩希帆…雪組…
本当に受信料払っててよかった…
ありがとうございます…BS…#ひかりふる路 pic.twitter.com/9p7iyNu0fo
当日、2階席1列目で観劇していたが、あの舞台は未だ忘れることはできない。
「すごいトップコンビが誕生したのではないか」と確信した。
宝塚歌劇団に対し、何を求めるかは人によって違うだろう。
「ルックス」「演技力」「歌」。
私は個人的に「歌」を特に求めるため、2人のコンビはまさに最強。
ただ歌がうまいだけじゃなく、歌に想いや気持ちがちゃんと乗ってこちらまで真っ直ぐに届く。
これは、ただ歌の技術を磨けば良いというものではないだろう。
それでいて演技力だけでもだめなわけで、だとしたらもはやセンスというのか、どんな努力をしても無理な人間には無理なもの、その才能のような力がこの2人には有るのではないか…。
だとしたら、そんな2人が出会い、そしてコンビとして誕生したということ自体すごいことだし、それを拝めることも同時にラッキーすぎる…。
宝塚どの組と比べても、正直、この2人は別格と言える存在。
笑顔の裏に抱えていた不安
この舞台を観た時、真彩希帆は歌うことや演技すること、舞台上で生きることがとても好きな人なのだろうと思った。
その姿に「弱い部分」を見つけることなどできなかった。
しかし、今回のロングインタビューの中、彼女は「不安で一杯だった」という言葉を何度も口にする。
ひかりふる路の時は特にそうだったとも。
「演者であれば不安な気持ちを見せないことは当たり前」と思う方もいるかもしれない。
しかし、舞台だけでなく普段(スカステなどの番組を見ていても)の彼女もやはり天真爛漫、元気な女の子にしか正直見えない。
宝塚歌劇団の娘役は、どこか男役の一歩後ろを歩くイメージがあるのだが、真彩希帆に対して感じるのは、ちょっとそれとは違う気がするのだ。
良い意味でも彼女は女の子女の子していないというのか、それはもしかすると、男役を元々目指していたからこその独特な雰囲気を持っているせいなのかもしれない。
目標に忠実にそして懸命に努力し、「どうすれば目の前の試練をクリアできるのか?」を惜しまない姿勢。
少し体育会系な性格。
その活気みなぎる姿が、元気で天真爛漫な人に見える理由のひとつかもしれない。
真彩希帆は誰よりも歌を愛する娘役
今回のインタビューの中、特に驚いたのが「ひかりふる路の舞台中、実は歌うことが怖くなってしまっていた」と話していたところ。
確かこの舞台中、彼女は声が出難くなったと聞いた。
本人も「ものすごく気合いを入れすぎた」とインタビューの中で話している。
そんな彼女は、ファントムで演じた歌を愛するクリスティーヌ役を通し、再び「歌うことをもう一度好きになれるかもしれない」と感じたのだそうだ。
「歌は自分の中で無くてはならないもの」だとも。
もしかすると、好きなものこそ、つまづいた時に感じてしまう不安は大きいのかもしれない。
しかし、それでも彼女は歌うことや演じることを諦めず、邁進し続けている。
弱さを引き連れながら懸命に舞台上で生き続ける彼女。
今でも十二分に素晴らしいけれど、きっとこれからももっと素晴らしい舞台人になる人なのだろう。
次回の宝塚大劇場雪組公演『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』は、望海風斗と真彩希帆の魅力を存分に楽しめるミュージカル舞台となっている。
チケット難は確実だろうけれど、見逃さないわけにはいかない。
ライター:胡麻シオン