宝塚歌劇団星組2番手の愛月ひかるさんの退団のニュースは、宝塚ファンに大きな衝撃を与えました。
ロミオとジュリエットの「死」の素晴らしい演技で、Blu-rayの緊急発売という快挙まで成し遂げた後の、このニュースです。
今にして思えば、退団を胸に秘めていたからこその、超新星爆発のような輝きだったのかもしれません。
ファン皆様の呟きや書き込みを見ていますと。
正二番手ではなかったもののサヨナラショーをされた悠未ひろさん、涼紫央さん。
上級生二番手から、トップになられた大空祐飛(現・大空ゆうひ)さん。
愛月さんと同じ星組で、トップになるまで待たされたことで知られる安蘭けいさん、紅ゆずるさんなど、様々な名前を拝見しました。
そこでふと「星組さんって、苦労人スターが多い?」と思いましたので、個人的な感想を書かせていただきます。
あくまで個人の意見ですので、ご理解ある方だけお読みください。
最後までお付き合いいただければ、幸いです。
星組は四番目に作られた組であり、歴史があります。
そこで今月タカラヅカ・スカイ・ステージで放送されている、71st Special Show「IV voice-テトラ ヴォイス-」の、伝説の71期四天王より後に的を絞って語りたいと思います。
それ以前でただお一人だけ触れさせていただくなら、星組一筋でトップを務められた、紫苑ゆうさんです。
宝塚音楽学校の講師をされていて、今でもすぐに現役復帰できそうな、素敵な方ですね。
2012年の「エリザベート スペシャル ガラ・コンサート」では現役時代にトートを務めたとしか思えないほどの演技でした。
伝説の男役さんのお一人ですが、二番手を7年務められた苦労人でもあります。
香寿たつき
まずは香寿たつきさんです。
2001年10月から2003年3月までトップを務められました。
現在東宝ミュージカルにおいてなくてはならない方で、抜群の歌唱力をお持ちです。
特に「モーツァルト!」の「星から降る金」は香寿さんが圧巻という方が、多いです。
しかし宝塚時代はダンサーとしての評価が高かった方です。
若手時代から注目されていたものの、72期生で、スター揃いの71期さんの下ということもあり、スターの渋滞に巻き込まれました。
中堅時代は脇役が多くなり、宝塚退団を考えて大学を受験、合格したという経緯があります。
湖月わたる
次は湖月わたるさんです。
2003年3月から2006年11までトップを務められました。
「INTO THE WOODS-イントゥ・ザ・ウッズ-」での、望海風斗さんとの共演が楽しみですね。
湖月さんはその長身とダンスの華やかさで若手時代から注目されたものの、二番手になった後で、いわゆる新専科、スター専科に移動になった経験があります。
新専科は77期のスターの渋滞によって作られたといわれ、75期の湖月さんが巻き込まれた形になります。
しかし専科前と新専科時代を含めて全組出演を果たし、晴れて星組トップ就任となりました。
努力の人でもあり、生徒さんたちを間近で見守っている裏方さんが、当時もっとも喜んだトップ就任が、湖月さんだったと言われています。
劇団に所属している裏方さんですらも、ハラハラする人事だったのですね。
相手役の檀れいさんも、同じく専科から迎えられました。
安蘭けい
トップまでの苦労人と言ったら、まず名前が挙がる安蘭けいさんは、2006年11月から2009年4月までトップを務められました。
宝塚最後の受験で、主席合格。
その豊かな歌唱力で注目されつつも、16年目でトップに就任となりました。
受験時に「故意に落とされたのでは?」というような発言をされていますが、ここでは言及を避けます。
安蘭さん自身、トップは諦めて自分にしか出来ないことは何なのかと模索し続け、その結果としてトップになれたと仰っています。
「さくら」「シークレットハンター」で初舞台生に送ったメッセージが、苦労してトップになった安蘭さんならではのもので、感動しました。
柚希礼音
続く柚希礼音さんは早期トップ+長期トップで、逆に苦労された方かもしれませんね。
2009年4月から2015年5月までトップを務められました。
トップ時代に始まったコンサート「REON JACK」は大好評で、今年9月に「REON JACK4」を迎えます。
涼紫央
愛月さんの時に名前が何度も見られた涼紫央さんが、柚希さんトップ時代に実質的な二番手を務められていた時期があります。
涼さんは宝塚愛も深く、星組と柚希さんを真摯に支え続け、正直「二番手羽根、背負わせてあげてもいいよね?」と何度も思いました。
しかし叶ったのは、二番手でなくても賑やかし的に背負えることのある、全国ツアーのみでした。
せめてサヨナラショーの時だけでも……と思ったのですがそれも無理で、それでもサヨナラショーは行われるという、不可解な退団でした。
北翔海莉
短期トップだった北翔海莉さんは2015年5月から2016年11月までトップを務められました。
宙組から専科に移動となり、豊かな歌唱力を武器に専科生として全組に出演されるなど活躍された後、18年目で星組トップに就任されました。
ファンの中からも、「トップになれると思わなかった」という声が上がった方です。
18年目のトップ就任は、愛月さん退団発表の際に名前が散見された、上級生二番手からトップになられた大空祐飛(ゆうひ)さんと同じ記録になります。
紅ゆずる
柚希さんの次のトップになるのではないかと噂されていた紅ゆずるさんは、北翔さんから引き継ぐ形で2016年11月21日から2019年10月までトップを務められました。
星組の苦労人トップというと、安蘭さんの名前があがることが多いですが、柚希さんの長期トップで長く待たされ、さらに北翔さんが入ったことにより、15年目での就任になります。
二番手を6年務められた後の就任となりました。
但し、柚希さんの次のトップが紅さんではなかったのは、紅さんの健康上の理由だったという説も、噂されています。
実際タカスペなどを体調不良でお休みされました。
退団後も主演舞台がコロナによるクラスターで中止になるなど、病気には泣かれることの多い紅さんですが、その明るくパワフルな姿に元気をもらえますね。
礼真琴
そして現在トップスターの礼真琴さんは、11年目でのスピード就任で、舞空瞳さんとの主席トップコンビとして話題になりました。
また令和初のトップスターであり、黄金の95期初のトップスターでもあります。
更にはオリンピックの閉会式では唯一大映しになるなど、順風満帆を絵にかいたような方ですね。
改めてみますと、柚希さん・礼さん以外は、皆さん遠回りされたなと感じられました。
星組と言えば、コスチューム。
やはりコスチュームをカッコよく着こなすためには、経験が必要ということでしょうか?
星組の熱さは、努力を重ねたスターさんが引っ張るからこそ湧き上がるものなのかもしれませんね。
番外:芹香斗亜
最後になりますが、現在宝塚ファンの中で最もその行方が気になる方のお一人が、芹香斗亜さんだと思います。
宙組は2022年2月~3月に、「NEVER SAY GOODBYE」の再演が発表されました。
トップスターさんの退団公演は、新作で当て書きと決まっています。
一本ものということも、非常に稀です。
再演物、ましてや別のスターさんへの当て書き作品で退団ということは、ありえません。
真風さんの退団はさらに先となるでしょう。
現在芹香さんは15年目で、二番手歴6年です。
個人的には、これだけ待たされた芹香さんがトップになれないことはないと確信しています。
それでも、ファンの皆様がやきもきする気持ちもわかります。
二番手を7年務めた伝説の男役、紫苑ゆうさん。
18年目でトップになった北翔海莉さんに、16年目でトップになった安蘭けいさん。
お三方とも押しも押されもせぬ実力派トップスターでした。
星組のトップさんの経歴を見ると、芹香さんファンの皆様も少し余裕が出てくると思うのですが、いかがでしょうか?
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。