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【望海風斗編】バウ初主演作品から迫る! トップスターの魅力

宝塚歌劇を楽しもう

タカラジェンヌといえば、どなたをとっても美しく光り輝くすてきな舞台人。

その中でもひときわ輝きを放つのが、各組のトップスターさんです。

70人近い組子を引き連れて真ん中に立つ姿には、まさに「トップ」の名にふさわしいオーラがあります。

そんなトップスターさんにも、初舞台や初ゼリフ初めてのソロパートがあったと考えると、なんだか感慨深いもの……。

特に、スター街道の入り口とも言えるバウホール初主演は、ジェンヌさんにとってもファンにとっても格別な思い出です。

そこで、ここでは各組トップスターさんのバウ初単独主演作品から、そのスターさんの魅力に迫っていきたいと思います!

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望海風斗『Victorian Jazz』

雪組トップスター望海風斗さんのバウホール初主演は、花組時代の2012年『Victorian Jazz』。

オリジナルの書下ろし作品で、演出家の田渕先生のデビュー作でもありました。

舞台はヴィクトリア女王時代のイギリス。

望海さん演じる奇術師ナイジェル·カニンガムが、お金に困って始めたインチキ降霊術をきっかけにイギリス王室の事件に立ち向かうことになるという、なんともスケールの大きな物語です。

ヒロインは『CASANOVA』で退団された桜咲彩花さん。

ちょっと空回り気味の女流新聞記者をキュートに演じていました。

脇を固めるのは現組長の高翔みず希さん、ヴィクトリア女王役の桜一花さん、皇太子役は花組次期トップ柚香光さん、鍵を握る女優アリス役に元トップ娘役の仙名彩世さんといった、錚々たる顔ぶれです!

響き渡る歌声

何をおいても歌ウマとして名高い望海さん。

望海風斗といえば歌、歌といえば望海風斗」といっても過言ではないほどです!(個人的見解)

 しかもこの作品はタイトルに「Jazz」を冠しているだけあって、粋なジャズナンバーが目白押し。

海外ミュージカル並の歌唱場面の多さで、望海さんの絶品の歌声を思う存分堪能することができます。

桜咲さんとのデュエット曲では、男役としては珍しい高音域でのハモリが登場し、音域の広さに驚かされます。

かと思えば、歌と喋りが混ざったようなリズムブレイキングなナンバーもあり、イキイキと歌い上げる姿はまさに洒脱なジャズシンガー! 

同じく歌ウマの桜一花さんや仙名彩世さんとのデュエットは迫力満点です。

望海さんのトップお披露目公演『ひかりふる路~革命家マクシミリアン·ロベスピエール~』は、名作曲家フランク·ワイルドホーン氏の書き下ろし楽曲を全編で使用したものでした。

7年前からこれほどの歌声を持っていたと聴けば、そんな高待遇も納得だと思い切り頷けます。

はみ出し者の格好よさ

宝塚の男役さんが格好いいなんて圧倒的に言わずもがな。

しかし一口に「格好いい」と言っても、爽やか王子様からクールで影のある大人の男まで、その魅力は様々です。

そんな中で望海さんの演じる男役の魅力のひとつといえば、少々アウトローで世の中の枠にとらわれない独特の格好よさが挙げられるでしょう。

奇術を操り降霊術士を騙り、世の中を手玉に取ってニヤリと笑うナイジェルの姿は、なんともいえず望海さんにぴったり!

また、仙名さん演じるアリスと愛の在り方についてデュエットする場面では、大人の妖しさが薫り高く漂っていました。

お話の構造上はアリス達が悪役サイド、そしてナイジェルたちはヒーローサイドとして敵対する立場です。

しかし、望海さんが演じるとどこか「カタギじゃない」香りも漂う、絶妙なバランスの役柄として成立します。

一筋縄で見通せない人には、えも言われず惹きつけられるものですよね。

『オーシャンズ11』のテリー·ベネディクト役や、『エリザベート』のルイジ·ルキーニ役など、爽やかならざる役を魅力的に演じる世界観は、この頃すでに芽を出していたのだと感じました。

そういえば雪組組替え後に出演した『ルパン三世―王妃の首飾りを追え!―』でも、インチキ錬金術師の役をやっていました。

ひとり者の根なし草彼が、一緒にいるサラやコナン·ドイルに心を開いて素直な気持ちを見せ始めるところとのギャップもたまりません!

「独特のスタイル」を持った「音楽のよう」なスター

この作品は、登場人物たちが主人公ナイジェルについて口々に語る言葉で始まります。

その中の第一声が、「言葉で説明するのは難しいが、彼にはなんというか、独特のスタイルがある」というもの。

その後「まるで音楽のようだ」という形容も聞かれます。

この言葉はそのまま、望海風斗さんを表現したものであるようにも感じられます。

爽やか華やかなだけではない魅力を発揮する望海さん。

組替え後も持ち味をさらに深め、そして運命のパートナーとも思える素晴らしい歌姫·真彩希帆さんとコンビを組んで活躍されています。

素晴らしい歌声と枠にとらわれないお芝居で幅広い見どころを作り出すその力は、研究科10年目の頃からしっかりと持っていたものだったのだとよく分かる作品でした!